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  偏見ご免のたわごと編:  No.192
近年現代短歌ブームらしい_私は長年戯れ歌やってる 2023.01.09
  昨年つまり2022年の10月のある日テレビを見ていたら、いま若者に短歌が流行っているということである。文字数が少ないのでSNSなど短文に慣れた若者には相性が良いのかも知れないということである。私もずっと以前から会社の何とか検討会やら何とか活動などで合宿や定例会があるとき節目にその状況で思ったことを俳句形式の川柳ではなく短歌形式の戯れ歌にして自分なりに楽しんできた。私は短歌形式がリズム感があって好きである。いまの若者もリズム感があって作り方に七五調三十一文字以外約束事がないところに惹かれているのではないかと思われる。

私はずっと以前から戯れ歌を作ることはあったが、当地に移住してからはある年の年賀状をどうしようかと考えていたとき、その年の干支を材料にした戯れ歌を干支と関連したあるいはこじつけた写真とともに賀詞のあとに付けようと思いついた。そのあとは毎年なるべくそうなるように心がけてやって来た。今回テレビを見て短歌ブームを知ったのだが、それにあやかって移住以来の年賀状の戯れ歌や、ときに作った戯れ歌をすべてではないが並べて紹介してみる気になった。以下、その戯れ歌である。

2005~2007年 の 戯れ歌関連記事の掲載ページ
2005年 (酉年・年賀状)
 酉年の 鳥に見立てて 送るべし わが庭に咲く 極楽鳥花
2005年 (飼い犬のしぐさを見て)
 とき来れば 思い出せよと やわらかに つんつん犬の 鼻の冷たき
2006年 (戌年・年賀状)
 還暦の 年に生まれし わが犬と 早五たび目の 春を迎えつ
2006年 (人の振り見て)
 恥ずかしや かの日のわれを 見る如し 熱く語れど 深くは知らず
平成19年(2007年)歌会始兼題 「月」 (戯れに作っただけ)
 月に立つ 値あるらん 望みつつ 行くわざ磨く 営みにこそ
 山影を つくりて明し モッチョムの 裾からのぼる 屋久島の月
2007年 (亥年・年賀状)
 孫娘 娘に妻と 三代の 亥年生まれと 迎える亥年

2008年 (子年・年賀状)
 子らと行く ディズニーランド 初めての 記念のクッション 縫いし日もあり
2009年 (丑年・出さなかった年賀状) (後の方を採用)
 わが里は 黒毛の牛を 肥育する 子牛逃亡 庭先過ぎる
 黒毛牛 養う里に 珍しき 逃亡子牛 庭先過ぎる
2010年 (寅年・年賀状) (最後のものを採用)
 幾たびも 虎の尾踏みし 愚者なれど 人並み春は 巡り来るらし
 幾たびも 虎の尾踏みて 誇りあり 愚者には愚者の 春巡り来る
 幾たびも 虎の尾踏むも それなりに 愚者には愚者の 春巡り来る
2011年 (卯年・年賀状) (後の方を採用)
 この年も 事成らずとも 生きるべし その名空木に 花咲く如く
 緩るらかに 栄えを求めず 生きるべし その名空木に 花も咲くべし
2012年 (辰年・年賀状)
 稲光 驚き見れば 龍子いて 眼光らせて 窓昇り行く
2013年 (巳年・年賀状) (形式外れの返し付き)
 われ巳年 曲がり根性 七度目の 巳年迎えて なお変りなし
           妻の我慢に 負うこと多し  

2014年 (午年・年賀状) (形式外れの返し付きの後の方を採用)
 血を流す 荷馬の脚に 小便を こわごわ掛けし 十歳のころ
 血を流す 荷馬の脚に こわごわと 馬子に頼まれ 掛けし小便
             傷洗うには 幼かりけり

2015年 (未年・年賀状)
 羊毛の 手紡ぎ手織り 友ありて 歴史となりぬ 妻の楽しみ
  ----[十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年歴史なる(中国のことわざ)]
2016年 (後期高齢者になっての心境)
 来し方を 恥じ入りながら 移り住む 悔いなく笑う 最期来るらむ
2017年 (酉年・年賀状)
 酉年も 一回りして 今も咲く 鳥に見立てし 極楽鳥花
2018年 (戌年・年賀状)
 図らずも 後期高齢 祝わるる 今亡き犬の 年に未だし
2018年 (年末挨拶状)
 残照の 未だ消えずと 年に一葉 師走の度に 送るも楽し
2019年 (年末挨拶状)
 残照の 未だ消えずと 師走来て 文にて告ぐる この年のこと        
2020年 (年末挨拶状)
 高齢の 動きあやしげ 見てくれに 似合わずこなす スマホにパソコン
2021年 (年末挨拶状) (後の方を採用)
 この年は 雨の日多し 通り雨 相合い傘を するも恥ずかし
 来し方を 恥じ入りながら 移り住み 四半世紀に 傘寿となりぬ
2022年年 (年末挨拶状)
 名を知らる ひと世を去りぬ その歳や われとほぼほぼ なお生くるべし


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