年賀状の背景写真は屋久島のある牧場の風景である。その中央に子牛の写真を配置してある。私が屋久島に引っ越して来てしばらくしたころ、どっどっどっと地鳴りのような音がしたと思ったら、庭先を子牛が何頭も過ぎって行った。すぐ外に出て追いかけてみたら一頭だけ家のそばに立ち止まっていた。それが写真の子牛である。
それからも子牛たちは群れを成して家の付近を走り回った。多分飼っていた子牛が逃亡して来たに違いないと区長に電話で通報したら、しばらくして車で来た飼い主が子牛を集め一団にして連れて行った。その手際よさに感心しながらそのとき私はなるほど牛を飼う里にはこういうこともあるかと面白がった覚えがある。