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  偏見ご免のたわごと編:  No.163
公共交通機関に関するアンケート_島内は自家用車が主だが 2022.09.05
  対象者2000人のうちの一人に選ばれたらしい。8月下旬、私に役場から公共交通機関の改善のためらしいアンケートの調査用紙が郵便で送られて来た。私は島外に行く交通機関については営利事業会社経営で採算性が前提であるからそれなりにしかならないと思っている。ただフェリーの欠航が多いのには困ることがある。船の耐候性とか港湾の改善でもしてもらいたいと思っているが、現在のところ公共交通機関と言われれば私がまず思い浮かべるのは島内の交通機関である。

島内の交通機関と言えば、自家用車以外については路線定期バスとタクシーである。どうしても利用しなくてはいけない状況にならない限りタクシーは利用しないと思うから、私の思う公共交通機関はバスということになる。そして定期バスとなるとタクシーと違い需給バランスだけで台数とか運行本数が決まるわけではないと思われる。多分そこが公共交通機関を云々しなければならない最大理由ではないかという気はしている。

わが家から近くのバス停まで500mはあるから、高齢者の私がいまの季節そこまで歩いて行くのは苦痛そのものである。ダイヤが充実し定時性が確保されてもそんなにまでして利用する気はないわけである。そしてわが家には自家用車があり夫婦ともに運転できるからそもそもバスを使うこともないわけである。

そういう私が、離島の公共交通機関としての路線定期バスについて利用場面を考えるに、多分通学のためと近隣に子や親戚などのサポートもない世帯の通院や買い物くらいしか思いつかない。多分島民の利用者は極めて少ないと思われる。通学はスクールバス、病院には通院バスもあるからそれらを利用すれば路線定期バスの島民利用者はそれこそ極めて少ないと思われる。私は路線定期バスは観光客相手が主体ではないかと思っている。

私が思うに、島民に限って言えば公共交通機関の課題は、自家用車を使えないあるいは近隣にサポートしてくれる子や親戚その他がいない高齢者世帯の交通弱者をどうするかということである。そしてその解は公共交通機関の改善にはない気がするのである。高齢者以外は高校卒業すれば運転免許を取得するし、ほとんどの働いているひとは自家用車をもって通勤したり仕事をしている。交通弱者以外公共交通機関を利用するひとは稀だと思われる。私はそう見ているから、公共交通機関の路線定期バスは観光客相手なのだと言うわけである。

ところで、今後自家用車がなくなり公共交通機関だけしか利用できない社会になったらはなしは別だが、いまのところ自家用車を持っているひとは自家用車を利用することを前提とすれば、例えば通学バス以外は交通弱者用に通院バスをやっていない診療所用の通院と買い物用のオンデマンドマイクロバスあるいはタクシー利用の公的移動サービスで島民の交通需要は満たせるものと思われる。利用者はそんなに多くないと思われるから、町はその辺を考えたらどうかと私は思っている。それでも負担が大きい外出困難な交通弱者のひとには、かかっている医者につながる遠隔診察通信端末を配るとか宅配サービスをするスーパーにつながる注文端末を配るとか考えることはいろいろある。

町が公共交通機関の問題を考える契機がどこにあったのか知らないが、島民の移動の問題点それも移動が不自由な中で生きていくための課題まで含めて解決しようとするとき公共交通機関だけを俎上に載せて検討してもしようがないし、交通機関だけで解決しようとしても十全ではないと思っている。路線定期バスに島民の需要は少ないからその改善は島民のための課題ではないように思える。ならば路線定期バスは観光政策の一環として町が運行会社と連携し改善して行けばよいのではないかという気がする。

そして島民の移動に関わる課題については、屋久島の主たる交通機関は自家用車であることを考えれば、例えば枝払い兼草払い隊の常設運用なども含め安全性を高めるための道路整備や道路標識のメンテナンスや島内事情に即した交通ルールの指導、そして路上駐車で公通を邪魔させないための駐車場の整備にも目を向ける必要があると思われる。

さらには交通弱者を極力作り出さないことも重要な課題である。つまり高齢者が運転しなくなってしまわないようにすることも必要である。高齢者は危ないと脅かして運転免許を返納させるなどはもってのほかである。そのときの最高レベル安全機能搭載車の利用を補助金付きで義務化をするなり必要なら頻繁に安全講習をしてでも運転できるひとには運転してもらえばよいのである。高齢者の認知機能検査は、違反や事故を起こしたひとだけに限定してあとは普通の免許更新にすればよいと私は思っている。離島内で高齢者の移動の自由を極力確保するにはこれがよいと思っている。県や国を巻き込むくらいの覚悟がいる。成人人口の半分が高齢者だくらいに思って自分が高齢者になったときの島内事情を想像して新しい視点に立って考えて欲しいと私は思っている。
(追: 2022.11.17 屋久島交通特区などはどうか。違反や事故のない高齢者の免許更新は若いひとと同じやり方にする。それを希望した高齢者には屋久島内自動車運転限定免許を交付する。そのくらいのことは考えて欲しい。国は高齢になっても働かなければならない国にしつつあるのだから、働け、でも動くな、というような法例を施行するのは矛盾したはなしである。)


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