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先日テレビで「超高齢社会への実践」と題する一柳良雄氏のインタビュー番組を見た。エイジウェルデザイナーという新たな雇用を創出した女性経営者がインタビュー相手だった。持続可能なビジネスとして「活気のある超高齢社会」をつくるべく「介護」か「ボランティア」と二極化しがちな業界において「人生の伴走者=エイジウェルデザイナー」という新たな雇用を創出したひとということのようである。その会社では、シニア世代の人生に「彩りを添えるサービス」(孫世代の若者をシニアの自宅に送り、話し相手から買い物のサポート、外出の付き添いまで)を実践しているということである。
田舎に住んでいる私が何も知らず初めにエイジウェルと聞いたときに想像したのは、国なり自治体が高齢者の生活の問題をどう理解しているかそしてまた個々の高齢者は何を望んでいるか、その間を結び付けてエイジウェルのための的確で根本的な解を提言するシンクタンク的なものかと思っていたのだが、私の想像とは違って営利事業のようだった。私は若者がアクティブシニアへのサービスを金儲けの出来る仕事にしようということなのだから、金を出せるひとが利用したいなら利用したらそれはそれでよいと思うが、私の田舎暮らしのエイジウェルの観点とは大分違っているような印象だった。
インタビュー相手の事業は退職しひとりでは何もできず充実した老後を過ごせないひと相手に人生に彩りを添えるサービスということなのだが、そういうものは都会志向である。田舎で人材が確保出来る見込みがない中でどうするか知らないが、もし起業する気があるならば、動けなくなったときにこそ介護サービスと相俟って人生に「彩りを添えるサービス」を提供して欲しいと思っている。3年くらい前に移住して来たある医師の感想だが都会の薬漬けの高齢者より屋久島の高齢者はしっかりしているとのことである。
しっかりしている高齢者でも見守ることは必要だが、動ける高齢者をあまり特別にケアすべき存在だと考える必要はない。都会で肩書で生きて来たあと自分で考え生きることから遠ざかり何もできず充実した老後を過ごせないのはそのひとの責任である。そういうひとの被害に遭ったひともいるかも知れず傍から見れば何をいまさらということになる。せいぜい大金をはたいて勝手に人生に彩を添えるサービスでも受けたらと思うわけである。
私のような動ける間は他人に自分の人生に彩を添えてもらうようなサービスなどいらないと思っている人間にとっては、そして多分同じ思いの田舎の人間にとっても、動ける間は自分の意志で動き回れてこそエイジウェルである。私は当地・屋久島では移動の自由を制限されず活動あるいは仕事が出来ることがエイジウェルの第一要件だと思っているわけである。(ただし動けなくなったときには介護サービスと相俟って人生に彩りを添えるサービスが提供されることがあってもよいかなとは思っている。)
そういう観点から田舎のシニアである私の思うエイジウェルであるための第一要件がらみの当面の課題は、
・公共交通手段が手薄で主交通手段が自家用車である。高齢者の運転免許に認知機能検査が導入されたりして煩わしい上に検査予約してから検査を待つ何ヶ月間か免許を失う不安に悩まされる。
・・運転出来なくなったら移動の自由は制限され買い物や通院に困る。役場や金融機関に行くにも支障が出る。各種サービスから疎外された難民になってしまう恐怖がある。
・・ゴミは細かく分別し出す曜日や時間も指定されている。ゴミステーションは家の近くにない。わが家の場合500mは離れたところにある。そして毎回車でゴミをステーションまで運んでいる。運転免許がなくなったら困る。
・・国家として高齢者にも働いてもらおうというのに、一方で働かせないような制度を運用する矛盾を解決して欲しい。
・・屋久島は違反者・事故原因者以外は認知機能検査は不必要な交通特区にしてほしい。
・・車の改良、法規・規制の適正化や標識・道路などの環境改善が先決ではないか。
・・高齢者の事故は、生活習慣病対応で常用している薬の影響ではとのはなしもある。認知機能検査で事故が減ると実証されていないのではないか。
・ほとんど自家用車しか交通手段がない島なのに、標識や草木のはみ出しも含め道路の保全整備があまりなされていない。
・・路側の草払いや枝払いは切り払い隊を組織し行政サービスとしてやって欲しい。年に一度集落の草払い行事があるが、高齢者には負担であるし、むかしと違って集落内完結で生計を立てているひとは少なく職場は集落外という人が多くなっている。町全体で考えた方がよい。
・・県道。町道などの公道は勿論だが公共的通路も含め生活道路は常時見回り必要な都度実施の行政サービスに移行したほうがよい。観光対策にもよい。私は税金がその分増えてもあるいはサービス分担金を出してもよいと思っている。(私が年とってやれなくなってからは、農道からわが家までの小道が車が擦れるほど草が茂って困ることがある。その小道を通行する受益者が6軒もあるのだがそれぞれ事情があるようでなかなかやってくれるひとは少ない。)
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