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  偏見ご免のたわごと編:  No.144
認知機能検査_大多数は問題ないのに全員対象 2022.05.30
  5月13日改正道路交通法が施行された。高齢運転者対策の強化のための実車による運転技能検査の導入や安全運転サポート車等限定条件付免許が導入が主な点のようである。それに関連してか運転免許更新のための高齢者の認知機能検査が混み合って待ちが何ヶ月にもなっているというニュースもあった。

私はもう2回も認知機能検査を受けているが、申し込んでから受けるまでにかなり長かった記憶がある。自分では認知機能は衰えていないと思っていても、公共交通機関が十分でない離島で運転免許を失いたくないと死の審判を待つに似た感じで月日を過ごすのはかなりのストレスである。いつも身体のどこかが痛く何か体調に変化があれば死の兆候かとおびえて過ごす身には、追い打ちでストレスをかけ続けられているようで辛いものである。

それにしてもなぜ認知機能検査が混み合って待ちが何ヶ月にもなるのか。私に言わせれば、体制を整えず国民それぞれの都合を考えない若いあるいは丈夫な官僚が実情に合わない展開をするからである。大多数が問題ないのに全員を認知機能検査するのは効率的でないし、やられる方は迷惑である。

高齢運転者支援サイトによると、令和2年までの12年間の更新時認知機能検査の結果をみると、第1分類(記憶力・判断力が低くなっている者)が2.5%、第2分類(記憶力・判断力が少し低い者)が 25.8%、第3分類(心配のない者)が 71.8%だったそうである。医師の診断が必要なひとは第1分類の2.5%なので、他のひとは講習を受け免許を取得できる。97.5%のひとは問題ないわけである。

そこで思うのだが、例えば75歳以上で交通違反をしたり事故を起こした人ひとだけを違反や事故の内容によりその都度あるいは更新時に認知機能検査し講習や運転技能チェックすることにしたらどうか。その他は75歳未満と同様の更新手続きにしたらどうか。

いま交通違反をしたり事故を起こしたひとの認知機能を疑って認知機能検査をすることにしているわけだから、そのひと達は認知機能が低くなっている者としての兆候があるとしているわけである。その兆候がある者だけを日を置かず認知機能検査するだけで事故防止効果は十分得られるのではないかと思われる。

さらに緊急時における自動運転技術あるいは事故回避技術が搭載されたいわゆる安全運転サポート車を利用するひとについては限定免許に変更すれば次の更新は5年後で可として安全運転サポート車の利用促進を図ったらどうか。


補足1: 
弱きものをさらに弱らせる_丈夫な奴らの論理 
以下、私が読んだある本の感想の一部である。「軟弱者の言い分」(小谷野敦著・昌文社)というエッセイ集がある。その始めに(目次の前に)「軟弱者の言い分-----まえがきにかえて」という文があって、その結びに、世の中をしきっているのは「丈夫な奴ら」である。奴らは自分が丈夫なのだという自覚がない。「奴ら」のヘトヘトは「軟弱もの」のヘトヘトと違うことが分からない。そして「丈夫な奴ら」の論理を振り回す。著者の叫びはこうである。[別役実の『天才バカボンのパパなのだ』という芝居では、一人だけまともな人物が、周り中バカに囲まれて、声をふりしぼるようにして「いいか、お前らはなあ、バカなんだぞおっ」という場面があるが、私も言いたい。お前らはな、頑丈なんだぞおっ、と。]、とある。


補足2: 
高齢者に認知機能検査とか高齢者講習はストレス
以下、No.560:「認知症研究の第一人者が認知症になった_テレビ番組」(2020.01.20)の補足を転載している。
長谷川さんが診療をしていたころ患者にデイケアを勧めていたのは間違いだったというようなことを言っていたのだが、運転免許の認知機能検査もそれを勧め定めた健常者が認知症になって、そのとき本当にそれが有効なのかと疑問を持つことはないのかと気になった。認知症のひとにも健常者同様の移動の権利を保証するために、車の機能とか社会環境の改善にもっと注力したらどうかという気になる。
高齢になって思うが、認知機能検査とか高齢者講習とか、かなり自分にはストレスである。半年くらい精神的な拘束感がある。私は運転技能があるものには年齢に限らず免許を与えることを基本にしたらよいと思っている。いま運転挙動をモニターして運転挙動に応じた保険料にするテレマティクス保険というのが販売されているが、自動車に運転免許証挿入型認知機能モニターを装備しデータを運転免許証に記録するようにし、免許更新時にそのデータと違反記録に応じ運転条件に制限を加える、最も厳しい場合は免許取り消しをする、というシステムにするのがよいという気がする。
問題は運転免許証挿入型認知機能モニターで何をモニターしどう判断するかだが、認知機能と運転挙動の関係が分かっていま認知機能検査をしているならそれは当然分かっているだろうから、さっさと法制化して欲しいものである。


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