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11月19日、福島で97歳の男性が運転する軽自動車が6人死傷の暴走事故を起こしたということが各局のテレビ番組で大きく取り上げられていた。歩道に乗り上げて数十メートル暴走し歩道を歩いていた女性をはね信号待ちをしていた車3台に衝突し、はねられた女性は死亡し衝突された2台の車に乗っていた女性など5人も軽い怪我を負ったということである。
高齢者を強調して問題視し高齢者の運転免許制度や高齢者の運転の規制などを論じるのが目に付いたが、私は常々高齢者に運転させるのは問題だというような世論形成に与しているようで違和感を持っていた。
そしてそう思うように誘導されているのではないかと、内閣府の交通事故に関するデータや、それを利用して高齢者の事故を分析しているサイトを見てみたのだが、どうも10万人当たりにとデータを操作して目に付くように出しているからのような気がしてしまった。
そこで、私は事故件数そのもので見てみたらどうなのかと調べてみた。
令和元年(2019年)のデータであるが、
運転者による死亡事故件数は、
運転者全体では、 3133件
75歳以上の運転者では、 401件 12.8%
80歳以上の運転者では、 224件 7.1%
75以上の全運転者では、 19.9%
免許保有者数は、
全年齢では、 5916万人
75歳以上では、 593万人 10.0%
80歳以上では、 229万人 3.9%
75以上の全免許保有者比率 13.9%
その結果を見ると、全運転者に対する高齢者の比率より、全運転者の起こした死亡事故件数に対する高齢者の起こした死亡事故件数の比率の方が大きい。やはり高齢運転者は死亡事故を起こす率が大きいようである。
補足1: 死亡事故を起こしやすいのは_80歳以上になってからかも
2022.11.23
因みに、運転者10万人当たり死亡事故件数は、内閣府データから
75歳以上運転者では、 6.9件
80歳以上運転者では、 9.8件
75歳未満の運転者では、 3.1件
これから75歳以上の実免許保有者数での事故件数を計算すれば、本文の運転者の起こした事故件数になるのだが、この75歳未満と75歳や80歳以上の運転者10万人当たり件数を見ると高齢者がすごく死亡事故を起こしているような印象を受ける。10万人当たりだと2倍とか3倍ということになる。
しかし、本文の75歳以上の免許保有者構成比率と事故件数比率をみると75歳以上80歳未満では運転者数から見れば比率は見合っていて普通のように見え、高齢だから事故が増えるとは言いがたい気がする。その原因は75歳未満の運転者の10万人当たり死亡事故件数が例えば若年層で高齢者並みあるいはそれ以上にもかかわらず、免許保有者数の年齢範囲が大きいので見かけ低く見えるのではないかという気がする。意図してそういうデータの出しているのではないかと気になる。
本文でも80歳以上になったら死亡事故を起こしやすくなるのは分かるのだが、本文の運転者と死亡事故の比率から見れば2倍弱なのに、運転者10万人当たりでは75歳未満の3倍以上死亡事故を起こしやすいと見えてしまうのも気になる。80歳以上でも層別に分析すれば、死亡事故を起こしやすいのは例えば90歳以上だったということだって考えられるかも知れない。
追加: 「高齢者は事故を起こしやすい」は本当か_和田秀樹氏の指摘
2023.08.27
高齢になれば事故を起こす確率が高くなるというデータなどない。
警察庁交通局が発表する交通事故状況(平成30年版)によれば、
原付以上の免許を持っている人口10万人当たりの年齢層別事故件数で、
いちばん多いのは16歳から19歳の年齢層でおよそ1500件、
次いで20歳から24歳が876件、25歳から29歳で624件である。
高齢者はといえば、70代で500件前後、80代前半でも604件だが、その他の年齢層の30代から60代が概ね450件前後だから、高齢者が特別、事故率が高いとは言えない。
さすがに85歳以上となると645件と増加するが、これだって24歳以下の若年層よりは低い。本気で事故を減らそうと考えるなら、高齢者より若年層に講習でも受けさせたほうが効果的ということになる。
ブレーキとアクセルを踏み間違うことは慌てたりうっかりしたときには若い人でもある。事実、ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていている。しかもすべての事故に占める割合は1%程度であり、高齢者に免許返納を求める根拠としては無理がある。
補足2: 高齢運転者は危険_それはメディアの偏向報道
2022.11.30
29日付の和田秀樹氏のネット記事を見た。それによると2021年は高齢者の死亡事故割合が15%になり過去最高だと騒いでいるが、全免許保有者の20%が高齢者なのだから、本来なら20%でもおかしくないと言っている。また75歳以上の高齢者の場合、自爆が4割で、人を撥ね殺す割合は2割をきっている。高齢者が人を撥ねるのはほかの年代と変わらないとも言っている。
免許返納あるいは免許高齢制限の考えについて批判もしている。高齢者の場合、免許を取り上げられたら6年後に要介護になる確率が2.2倍に増える。要介護高齢者が倍になれば6年後の要介護高齢者が今より500万人ふえることになる。10兆円の費用をだれがまかなうというのかということである。
また、日本は世界でいちばん高齢者が多い国なのに、世界でいちばん高齢者の人権を奪い、世界でいちばん高齢者がよぼよぼになる政策をとっているとも批判している。そして年齢差別禁止法や偏向報道禁止法でも作らないと間違った世の中になってしまうと嘆いている。
補足3: 高齢者事故_認知症ではなく薬服用による意識障害の可能性
2023.10.09
8月27日の和田秀樹氏の高齢者運転事故についての記事を見た。高齢者の運転は危険だというイメージがあって、暴走事故例えば高速道路での逆走、交差点や駐車場でのブレーキとアクセルの踏み間違いなど不自然に見えるので認知症が原因だと疑われがちである。
でもこういった普段はしないような不自然な事故の原因のほとんどは薬による意識障害ではないかと思われるということである。何故なら、こういう事故を起こした人のほとんどは普段は暴走や逆走をしていないからということである。
高齢になると複数の薬を常用している人が多く、代謝も落ち副作用が出やすくなっているので、低血圧や低血糖、低ナトリウム血症などになると意識障害を起こしやすくなる。事故を起こしたドライバーがそのときの状況を「よく覚えていない」と言うことがあるが、そう言ったら認知症より意識障害を疑った方がよいということのようである。
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屋久島暮らし残照録・偏見ご免のたわごと編:
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