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  偏見ご免のたわごと編:  No.204
きつい田舎もあるらしい_私は当地に移住してよかった  2023.02.16
  最近、愛媛県新居浜市の別子山地域に2021年12月から約1年間移り住んだ地域おこし協力隊員がYouTubeで撤退したいきさつを配信し、その旧村地帯はいま「村八分にあう」集落と世間に認識されてしまったという記事を見た。そういう状況を受けてかどうか知らないが、2月3日福井県池田町の広報誌に移住者への提言として「池田暮らしの七か条」というのが掲載されたという記事があった。普通の移住者の私としては協力隊員の活動の地域での位置づけなど分からないから池田町の地元の言い分がどんなものかと関心を持って見てみる気になった。見ての感想だがちょっと地元本位すぎる感じである。しかしどこかの田舎に移住を考えているひとならば、池田町の言い分にある移住者に対する見方あるいは姿勢は、濃淡はあれどこの田舎であれ根底にあるかも知れないと思って、地元と調和をとる気持ちをある程度持った方がよいと思っている。

さて、池田町についてだが、人口約2,300人(人口11,000人超の屋久島町の中の宮之浦地区くらいの規模)で、毎年20人ほどが移住して来ているそうである。同町の担当者によると、町には「集落」と呼ばれている33の地区(屋久島町は26地区)があり、それぞれに区長がいるということだが、人口が少ない割に33地区もあって必然的に地区の人口も少ないから地区内それぞれ地元住民の私的支配傾向あるいは意識が強そうである。「七か条」はその区長会が提言としてまとめたもので、提言をまとめた理由は《私達は、池田町の風土や人々に好感をもって移り住んでくれる方々を出迎えたいと思っています。(中略)移住者、地元民双方が『知らない、聞いてない』『こんなはずではなかった』などによる後悔や誤解からのトラブルを防ぎたいと思っています》ということだそうである。また各区ごとに移住者には共同して暮らすための決まり事やルールについての具体的な心得を解説する「集落のテキスト」を配布することも決めているようである。

その「七か条」や「集落のテキスト」を見たあるひとのブログに、
・池田町に来るならどんなに馬鹿馬鹿しいことも従え
・人口が激減しても行事や苦役は減らさないから若い移住者がやれ
・「そんな馬鹿なことを」みたいな反抗は許さん
・プライバシーはない
・近所の高齢者の面倒を見ろ
というのが池田町の考え方ではないかと想像されると書いてあった。そしてそういうところにはひとは移住したくないと思うのではないかということである。移住者のやりたいことを応援したり、暮らし方の違いを認めたりする寛容さが必要であって、ただ外から来る移住者を自分たちのためにただ働きさせるために移住促進を策しているかのような姿勢では町は衰退するだけだろうということのようである。

屋久島町のわが集落でも移住する際にそれなりに心得ておいた方がよいと思われることはある。しかし、その内容は池田町に比べてかなり緩いものになると思われる。つまり、わが集落は移住して住みやすいあるいは受け入れに寛容であるということである。私と妻は今年移住28年目に入ったが、その実績がそれを証明している。ただ、未だに移住者と見られている感じは捨てきれない。多分外部から田舎に移住するにそういうことはつきものだと思われる。私の思う地元と調和をとる気持ちとはそういう感じに鈍感になればよいということである。私だって近所に引っ越して来たひとがいたら、どんなひとか気になって慣れるまでは警戒してしまう。それはどこに住んでいようが当たり前のことである。そしてまた慣れないままのひとがいることもどこにいてもあるわけである。


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