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  たわごと編: No.372  
  2016.11.07 出しとしてのオリンピック_その得はいかほど  
 
  商業化したオリンピックはもうやめたらと思っている私には、東京オリンピックの会場見直し関連の報道を見ていて気になったことがある。見直し対象競技団体の関係者などが見直しにクレームをつけるときの会場がレガシーにならないとか大勢の観客に見てもらった中で競技したいとかいう言葉のことである。自分たち競技団体では持ちえない規模の競技場を他人の金を当てにして他人に作らせようという魂胆で言っているようであまり聞いていてよい感じはしない。自分たちがそのときの満足のための会場を自助努力で用意できないならば、通年の競技活動が維持出来てそれで採算の取れるそれなりの会場で満足したらどうかと思ってしまうのである。

さて、東京都が招致に立候補し国がバックアップして開催都市に決まったのだが、7000億円余の費用見積もりの持続可能なコンパクトオリンピックという提案がその決め手になったということである。いま数兆円かかりそうだということだが、当初提示の7000億円余の見積もり対象内容と同等の分はいま何千億で、当初の提案時見積もりに含まれない内容が何千億なのかいまだ情報は出ていないようである。

立候補時にIOCが提示すべきと言った内容(当初の7000億円余)以外については、東京都と国と組織委員会、IOCで見直しや節約をしっかりやればよいが、7000億円余の当初見積もり対象分については開催地決定の条件なのだから、その前提を崩すような内容変更がかなわず高くなっても東京都が尻を拭くしかない気がする。

それはそれとして、そもそも2020東京オリンピック招致の目的は、立候補ファイルによれば(・次世代への夢と希望、・環境問題への対応、・平和への貢献)ということだが、これだけ見れば当たり前のキャッチコピーでオリンピックに限ったことには思えない。地道に着実に時間をかけて推進していくべき課題のように見え、いっときのお祭りでは達成できないものである。真の目的はよく付随効果だとか裏読みで言われているように、施設整備とか都市基盤改善推進とかそれらをめぐる商機・経済活動を期待してのことだと思われる。

私は、都市や国の経済活性化やインフラ更新やその他の(・次世代への夢と希望、・環境問題への対応、・平和への貢献)事業に、直接オリンピックに使うくらいの金を使えばオリンピック付随効果よりも充実した効果が出せるのではないかと思っている方である。だからその真の目的のためにオリンピックを招致するのが最適と判断する前に、なぜオリンピックを招致するために東京都や国やその他が結集し働かせた知恵を、直接都市と国の持続的保全と発展のために結集しようという発想がまず出なかったのか不思議だと思っている。

しかし知恵を絞って熟考の結果がオリンピックを出しにする発想で、当初から費用高騰も織り込み済で成算ありということなのかも知れない。もしそうならばいかようなことがあろうとも相当の得が見込めるということになっていると思われる。ところが当初見積もりの7000億円余は招致時の見せ玉にもかかわらず信頼できる確定値であるかの如く独り歩きしてしまっている。そして費用見直しなどの動きになっているのだが、これは当初見積もりからかけ離れた現実費用高騰への批判のガス抜きパフォーマンスなのかも知れない。また小池都知事の選挙パフォーマンスから表舞台化した費用見直しの動きだが、結果が満足いくものでなくてもそれにトライした行動だけでも評価されると踏んでいそうな小池都知事に損はないと思われる。

補足: 
都外の仮設施設は都が負担すると決めたらしい
2017.05.11
小池都知事は競技会場となる都外の仮設施設について都が整備費用を全額負担することにしたようである。またパラリンピックの開催経費については国に負担を求めたようである。


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