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相手の立場を考えて物事を行うことを意味する言葉にはいろいろあるが、今年になって森友学園問題で忖度という言葉がクローズアップされている。忖度とは本来は単純に他人の心中やその考えなどを推しはかることを意味する言葉だったそうである。それが、いまは相手の立場を考えて他の事柄を元に相手の心を推測し物事を行うことという意味合いになっているようである。
私たちは相手の気持ちをくみ取り、気を遣うことは日常の人間関係の中で当たり前のようにやっている。それが出来ない人間は人間性・社会性に欠けるくらいの感覚を持っている。一方、上下関係のある中で上の人間に気に入られようとしてその意を推し量って本来のやり方を融通できる範囲で曲げてものごとを進めてしまうことについては、批判的である。まずい状況になったときに責任者不在の事態をまねく恐れがあるし、そういう事態を見ることが森友問題に限らず過去にあったからだと思われある。
そしていわゆるそういう忖度は、どこででも起こりうることである。権力を持つ人間の周りではその権力者の影響力を利用し自分のやりたいことを実現しようとするとか権力者の意を汲んで権力者の主張を敷衍して自分たちのやりたいことを正当化して行こうとかいう力が働きやすい。そしてそのやり方が本来の正しいやり方だったり結果オーライだったりならば、その結果はその権力者の主張のもとに展開された具体的施策として評価されるわけである。しかしなにかまずい事態になった場合には責任者不在になる恐れがある。
さて、はなしの対象を絞っての忖度のことだが、いま話題の都民ファーストの会のことである。多分都民ファーストの会は小池都知事の思いを忖度して行動することが多くなる。都民ファーストの会に参画する人物は小池都知事の主張を忖度するから入れてくれと集まっているわけであるから当然である。私は派閥とか政策グループとか権力者を中心に組織される団体は、多かれ少なかれその権力者の意向を忖度することが前提の組織であると思っている。それが政府ということになれば、その長の意向を忖度するのは当たり前であって、それがなければ回らない。会社だってそうだが、いちいち細かい指示などない処理事項は数多いわけである。
それはそれでよいのだが、問題はなにか悪い結果が出たときにその組織の長が責任をとるかどうかにある。そして都政の場合、小池都知事は自分が責任をとるという意思を固めているのかも知れない。しかし、小池都知事は都自民党は忖度の集団だと非難していながら、実質自分の主張を忖度する集団・都民ファーストの会を組織したが、その責任を取るべき長にならないところに、私は違和感があってしようがないのである。問題があったとき関与の責任については精査されるべきとは思っているが、初めから関与の線から外れた立ち位置に自分を置こうとしているようで気になるのである。また都知事としての豊洲問題やオリンピック問題に対する決断の引き延ばし状況も責任を回避しようとしているようでその姿勢に疑問を持たせるところである。
補足1: 小池都知事の忖度
小池都知事は都知事選の結果で都民はこうだと忖度している。都民ファーストの会はその小池都知事を忖度するわけだが、一方で小池都知事も都民ファーストの会の議員などの意見を忖度することになる。都民全員に直接コンタクトできるわけではないからそういう構図になるわけである。
補足2: 都民ファーストの会とは
都民ファーストの会は、小池都知事が主宰する政治塾・希望の塾の運営団体ならびに都議会において活動する地域政党。代表は小池都知事の特別秘書(政策担当)をつとめる野田数氏。小池氏自身は党の代表に就いていないが、4月28日特別顧問に就任。メディアでは小池新党と呼ばれることがある。
補足3: 本日の若狭氏自民党本部に進退伺提出の報に違和感
2017.05.29
進退伺とは、過失に対する責任を認め所属組織の処分に従いますというものなので、提出者は自分のやったことについて過失を認めていることが前提である。若狭氏は自分に過失があったがごとく言っているようだが、これからの都議選で信念を貫きとことん所属組織に歯向かうという場合には過失ではないのだから、辞表を出せばよいのだがそれをしない。若狭氏はずるいと言うべきである。
(追:2017.05.31 本日、若狭氏が自民党本部で二階幹事長と会い離党届を提出したそうである。進退伺の報は誤報だったのかも知れない。)
補足4: 小池都知事が都民ファーストの会代表に就任の予定
2017.05.30
ニュースによれば、小池都知事が地域政党「都民ファーストの会」の代表に6月1日就任する予定であることを明らかにしたらしい。
(追1:2017.06.01 本日、小池氏が自民党に離党届を提出したようである。いままで長い間、過失に対する責任を認め所属組織の処分に従いますという筋違いの進退伺でごまかした来ていたのだが、私は初めから歯向かってやって来ていたのに離党もしないでいる姿勢を見てずるいと思っていた。小池氏はずるさを全うしたようである。)
(追2:2017.07.03 昨日の都議選で大勝した「都民ファーストの会」の代表を小池都知事は止めるそうである。都議会に自分の意に沿う勢力を作る目的を達成したからか元のかたちに戻すようである。)
補足5: 都議会議員選挙始まる
2017.06.23
都議会議員選挙は、本来は二元代表制のもう一方の都知事並びにその配下の都庁の政策とその進め方などについてチェックする議員を選ぶためにある。だが今回の選挙は、かつて都民が選んだ都議会の改革を今度はそれを都知事に頼る都議会に選びなおすかしないかが争点みたいで気になる。都の課題が何でそれをどうしたいかの方が重要だと思われるが、立候補者のその課題認識あるいは考え方が確認できないようだと変なひとが当選してしまうかも知れない。
(追:2017.07.03 昨日のと都議選で自民党大敗。政府や国会議員の不手際や不祥事の影響が出たというはなしだが、日本をとりまく世界情勢から見れば安倍首相の対応は評価されると私は思っているが、このところ深慮遠謀・沈着冷静である印象が薄く気になっている。)
補足6: 希望の党代表に_小池都知事
2017.09.25
本日小池都知事が記者会見し、いわゆる小池新党・希望の党を立ち上げと代表就任を発表した。本日安倍首相が衆議院を解散すると発表する模様。小池都知事は衆議院選挙前に代表就任そして選挙が終わったとたん代表辞任と都議会議員選で見せたような作戦に出ているのかも知れない。
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No.411 都議選の結果を聞いての感想など (2017.07.10)
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