屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
                     Home > 目次_top  >  記事

No.172 屋久島(97):両町合併のこと(5)     H17.04.04)
                   
あるいは、行政連合区域のこと)

屋久島の両町合併が財政優遇措置のある特例法期限内に実現しないことになった。期限を切って一遍に地域感情や風土も含め統廃合するのはなかなか難しいようである。私が見聞きした報道や広報・配り物から受ける印象では、財政優遇措置を受けたいということが先にあって合併後の形を整えることに注力しすぎて、計量できない質とか気持ち領域の論議がおろそかになっていた気がしないでもない。

屋久島でこれから新たな条件の下で合併が模索されることになるのかどうか分からないが、これまでについて言えば外圧に促され期限も切っての合併論議が始まったのであって住民意識としては合併しなければという切実感はあまり無かったように思える。今後進めるときは住民の切実感が盛り上がるかが課題となりそうである。しかし新法ではお上のご意向、言うことを聞けという展開もありうる。

私は自主的展開が望ましいと思っている。今後政治経済圏として屋久島をまとめていくためには、合併賛成派だけが満足し、反対派が我慢するという構図に陥るのを避けたほうがよい。そのためには一部懸案事項への賛否が全体の対立にならない仕組みがあればよいのにという気になってくる。例えば行政区域が時の流れに対応して随時変化していける仕組みがあったら、十分な合意が形成されない状態で合併の賛否を競り合うような事態にならず、じっくり建設的な展望をすりあわせ可能な部分から統廃合するような対応が可能だったのではないか。

そこで今には役に立たないたわごとではあるが、以下のような
行政連合区域があってもよいのではと考えたりしていたのである。

市町村の合併は国の財政問題に端を発して推進をされている。要は広域的行政区域を作ってその財政基盤を広げるとともに経費の削減も可能な体質にしてその結果として国の負担を減らそうということである。

それが目的ならば、行政連合区域を現行の行政区域にかぶせることでも達成できるのではないか。選挙区や警察署の管轄区域のようなものをその時代時代、地方地方の状況に基づいて決められればよいのではないか。地名地番を変える必要もない。

そして懸案事項はさておいて可能な事項から逐次統廃合していけるような仕組みにする。国が一部機能からでも可能な行政連合を地方自治体として認める法律を作れば、時間とともに合理的な行政連合区域が出来ていくのではなかろうか。

そうすれば歴史的な地名地番を無くさなくてよいし、懸案事項はことを急ぐことなく時間をかけて合意を形成していける。政治経済圏としての現実に適応性の高い行政連合区域ができれば市町村合併の目的は達成される。

選挙区や警察署は時に境界変更などあっても管理できているのだから、範囲も狭く変更も少ないと思われる市町村くらいの行政連合区域なら十分なじんでいくと思われる。(余談:現在の地名地番が変わらないなら、消えてしまったセントレア市の代わりにセントレア行政連合区域というのが抵抗なくできた気がする。)

以下は屋久島を想定しての例の説明としてみてもらいたい。現行の上屋久町・屋久町が連合できるところは、行政連合役場(屋久島行政連合)に権限を移し職員を出す。その行政責任者(代表)は上屋久町・屋久町の町長が交代で正副を務める。連合議会は現行の上屋久町・屋久町の全議員で構成する。なお、上屋久町・屋久町はそれぞれ議員・職員をスリム化する。

その後、上屋久町・屋久町は懸案事項の協議および権限委譲を続け最終的に各々の議会の賛成と町民の支持が得られれば、権限をすべて行政連合役場(屋久島行政連合)に移し、新たに連合行政区域(屋久島行政連合)として行政責任者(代表・正副なしの1名)および新定員の議員(現行行政区域を各選挙区とするも可)を住民の選挙で選任する。

一遍に区域の統廃合はなかなか難しいとの現実にかんがみ、国が行政連合区域を地方自治体として認める法律を作れば、時間とともに収まるところへ収まっていくのではなかろうか。過渡的な段階では権限の所在が二層になるが、役場の場所が変わらなければ住民にはほとんど不便はないと思われる。道州制だってそうかもしれないが、現行行政区域の上にかぶせる行政連合区域として考えていけば、プロセスの自由度があるから実現性は高まるのではなかろうか。

No.112 屋久島(64):両町合併のこと(1) (H15.02.10)
No.165 屋久島(92):両町合併のこと(2) (H17.01.10)
No.170 屋久島(95):両町合併のこと(3) (H17.03.21)
No.171 屋久島(96):両町合併のこと(4) (H17.03.31)
No.175 屋久島(98):両町合併のこと(6) (H17.05.18)
No.182 屋久島(102):両町合併のこと(7) (H17.07.05)
No.188 屋久島(106):両町合併のこと(8) (H17.09.26)

No.191 屋久島(108):合併問題まとめのこと  (H17.10.10)


 
 Home   back