屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.112 屋久島(64):両町合併のこと(1) H15.02.10)

1月の下旬「上屋久町・屋久町任意合併協議会」の平成14年12月付け「みんなで考えよう!市町村合併(屋久島地区における地域の将来像等調査研究報告書概要版)」が配布されてきた。

私は合併についてはあまり真剣に考えていない。国が飴とむちで合併推進を図っているのだからよっぽどのことがない限り合併することになる。報告書は概要版だからか、見ても合併はしないほうが良いという勢力の視点からの調査研究結果は含まれていない。報告書が調査研究の結果データで論じているのは財政推計だけで、勿論合併したほうが将来有利であると結論づけている。

私には、国が合併すれば飴をくれる、合併しなければむちがくるという条件があるのだから、財政論議では合併有利は当然の成り行きのように思える。合併しないと判断するには行政サービスや財政悪化の影響を被っても避けたい合併デメリットがあるかということになる。

合併してもしなくても行政が最大限の努力をする前提でと言われれば、人と金と事業の集約度が決め手である。職員数や事業は集約される上、金の問題でも飴を貰う合併のほうがはじめから有利に決まっている。量論議に質論議で対抗しなければならなそうな反対勢力は、説得できる反対理由を構築するのがなかなか難しいと思われる。

今回の任意合併協議会の報告書概要版の構成は以下のようである。

1.屋久島の概況(人口は平成37年でも今とほとんど変わらないとある)
2.合併論議の背景(合併の必要性の一般論)
3.合併のメリット(屋久島で合併効果を期待できる課題)
4.合併のデメリット(住民の不安に対する対応方向の説明)
5.単独の場合の財政推計(合併しないときのH37までの推計)
6.合併した場合の財政推計(合併したときの推計、人件費削減効果)
7.財政推計の結果(合併しないと財政的に不利になるとの結論)
8.新町の将来像(基本理念の提案、合併したら実現できるというものではない)
9.新町建設に向けての主要プロジェクト(四テーマ、行政への要望項目ということか)
     注:( )内は私のコメント。

この報告書概要の主眼は5.〜7.で国の合併推進策の飴の効果があるから財政的に合併が有利と言うところにある。合併のメリットの項目は両町一体化すればそうできるようになるのであって、そうするために合併したいと言う理由ではない。8.〜9.は合併を決めた後のあるいは合併後の行政が決めるもので合併したからこうなるというものではない。合併推進のための報告書の飾りである。

この概要版にはあまり中身はない。国が言うことを聞けば得だと言っていることを数値で確認しているだけである。今の屋久島で合併したいと言い出す理由はそれに尽きるのである。だから報告書に今屋久島では具体的にこういう課題があって、こういう理由で合併しなければ解決が難しい、そして合併したらそれはこうなる、だから合併したいという筋の通った調査研究内容が見当たらないのである。体裁だけは立派だが中身に乏しい。正直に国の合併推進に乗らないと困るから合併したいと言って、合併したらこうなる、こうしたいと言ったほうがよっぽど理路整然として話しは通ると思われる。

結論の決まっていそうな協議会は、プレゼンテーションの体裁にこだわらず、きちんと筋の通った本質論議をしないとピエロになってしまう。

ところで報告書の中で私が興味を覚えたのは唯一人件費のデータであった。給与規定を知らない私が町長や議員、職員はどのくらい貰っているのか想像できそうだからである。報告書の合併の人件費削減効果推計に特別職4人削減で10年間で3.4億円削減、議員10人で4.2億円、職員57人で14.2億円とある。これから見ると一人平均の年間給与は、特別職で850万円、議員で420万円、職員で250万円となる。

No.165 屋久島(92):両町合併のこと(2) (H17.01.10)
No.170 屋久島(95):両町合併のこと(3) (H17.03.21)
No.171 屋久島(96):両町合併のこと(4) (H17.03.31)
No.172 屋久島(97):両町合併のこと(5) (H17.04.04)
No.175 屋久島(98):両町合併のこと(6) (H17.05.18)
No.182 屋久島(102):両町合併のこと(7) (H17.07.05)
No.188 屋久島(106):両町合併のこと(8) (H17.09.26)

No.191 屋久島(108):合併問題まとめのこと  (H17.10.10)


 
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