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  日誌編:  No.234  
ショックドクトリン_どこでもこの手法は花盛り 2023.06.26
 
以下、読書感想である。「堤未果のショックドクトリン(堤未果著・幻冬舎新書)」という本を読んだ。副題に「政府のやりたい放題から身を守る方法」とある。マイナンバーとかコロナワクチンとか脱炭素などについてショックドクトリンの解説をしてあるのだが、そのショックドクトリンとはテロやぢ災害など何かが起こったときに恐怖で国民が思考停止している最中にそれで全国民あるいは全世界をパニックに陥れ為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める手法のことである。日本で言うならば、何かで人々が思考停止しているうちに緊急事態対応だと憲法や法律無視の政策を強行して政府とそのお友達企業が「今だけカネだけ自分だけ」とダイナミックに儲けるやり方をするということのようである。


例えば3.11大震災、アメリなら911テロのような事件・事故を切っ掛けにして恐怖を煽って国民をパニックに陥れ緊急対応で勝手放題の施策を強行しその裏で政府とそのお友達企業が大儲けする。そういうショックを与えパニックに陥らせている間に都合の良い状況をやりたいように作っては政府とそのお友達企業が大儲けするというのが本来のショックドクトリンらしいが、為政者などが自分たちに都合の良い状況を作るために世の中がスキャンダル報道や追及に気を引き付けられているどさくさにほとんど論議をせず話題にもならないようにひっそりと重要事項を決めてしまうのも、ショックドクトリン手法の内ということのようである。

おかしいと思う感覚を大事にしていないとそういう動きが進んでいることになかなか気づきにくいらしい。自分たちの懸念に素早く対応してくれていると喜んでいる裏で将来に渡って自分たちが不利益を被るような仕組みが構築されてしまう危険がある。つまり緊急時にそのとき限りと思って許した超法規的な権力がそのまま権力機構に残ってしまうことが、何かに気をとられている間に決まってしまうのだが、何かあったらそういう動きの裏で何が進んでいるかと自分で考える感覚を麻痺させないことが大事のようである。

コロナワクチンではぼろ儲けした企業などがホクホクらしい。いまはマイナンバーの用途拡大が怪しげらしい。その先には脱炭素もあるようである。ぼろ儲けする企業関連の人間が政府に入りぼろ儲けの仕組みを作ったりする体制あるいは回転ドアは出来上がっているらしい。そこを注意して見ていないとやられてしまうことになる。マスコミやメディアあるいは有識者が正義漢をくすぐるキャッチコピーに惹かれてぼろ儲けのお先棒を担いだり、有名人や政治家ののスキャンダル報道にうつつを抜かしたり、野党が政策議論を放り出してスキャンダル追及にのめり込んで、世の中がその推進の問題点から目をそらさせられている間にほとんどその問題点が話題にならず論議されず政府とそのお友達企業の金儲け施策が決まって行くことになるということらしい。

そして、われわれはおかしいと思ったら声を上げ立ち上がる必要があるということなのだが、私が思うに、政府とそのお友達企業ほどに血のめぐりがよくなく権力もない割を食うわれわれがどう声を上げ立ち上がるのかという問題は言うは易く行うは難しである。私は政府のウェブサイトでマイナンバーについて意見を出したこともあるが、いまのところマイナンバーシステムは著者の言う如く危うげな展開が強行されている。紙の健康保険証の廃止は撤回されない一点を見てもまともな感じがしない。この本は警告に満ちているが、マスコミやメディアあるいは有識者そして野党もスキャンダルや問題を煽り自分たちの利益を追求したり自分たちを売り込むショックドクトリンと似た手法を得意技にしているのだから、いまのところ先行きは暗いように思える。


補足: マイナンバーカード_携行による問題点解消策が必要
マイナンバーカードの運用システム設計に当たっては、ナンバーが一生変えられないことを考えれば携行に不向きなので、それを乗り越える補完サブシステムを構築する必要があると思われる。マイナンバーカードは安全収納できるところ(例えば金庫)に保管するに如くは無い。となれば他のカードやサイトの暗証番号も多い中、マイナンバーカードの暗証番号をどう思い出せるようにしようかと苦労する必要もない。
なにしろ携行必須のシステムにした場合を含みいまのマイナンバーカードは問題が多すぎる。例えば、なくした場合、盗まれた場合、あるいは例えば自然大災害などのときも含め回線やシステムがダウンした場合、あるいは暗証番号を憶えられなかったり忘れた場合でも、マイナンバー持ち主のマイナンバー利用やそれによる恩恵が制限されたりしない施策あるいは不利益を被らない保証があるのか。
また高齢者に多いと思われるが、デジタル環境弱者、交通弱者、意思伝達不自由者、代理人委任が必要な生活不自由者など世の中でうまく立ち回れない人間でも問題ない運用システムにしてもらわないと困るわけである。運用方法まで含めたシステム設計のやり直し・再開発をしないと将来に禍根を残すのではないかと気になっている。


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