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  偏見ご免のたわごと編:  No.146
ジェンダー問題論議_そこに愛はあるのか 2022.06.07
  5月初めのころ、あるテレビのバラエティ番組で参加パネラー各人がジェンダー問題をこどもにどう説明するか答えその後討論するようなところを見た。私がいままで見たことのあるジェンダー問題論議では男社会が悪い、男が悪いと言い募る印象がある。漠然とは違うだろうと思うのだが確たる知識や信念はないので、本当のところどんなことかとちょっとネットで見たところでは、ジェンダーとは、生物学的な性別(セックス)に対し、社会的・文化的役割としての性別を意味する。そして、ジェンダー問題とは、社会的・文化的な性別(ジェンダー)にもとづく偏見や、男女の雇用・賃金格差といった経済的な不平等に関する問題を指して言っているようである。

私の感覚では、古来セックスが役割としてのジェンダーを決めるのに考慮せざるを得ない重要なことだったと思っている。長い人類の歴史において人類が生存・存続していくためにそれが必要だったからそうして来たのだと思うが、生存・存続の努力だけを求めなくても生存・存続できる文明・文化を持つようになったいま、役割としては可能な限りセックス由来の差をなくすことに異論はない。でもセックスによる違いというものを何でも許さないというような極論にはついていけない。

私は、セックスとジェンダーを区別してときどきの場に合わせて意識を変えられるほど器用ではない。いわゆる女のひとを見れば女(セックス)としてまずは見えるわけである。それからその場の状況に合わせ女(ジェンダー)と女(セックス)を自分の感覚・判断に従ってミックスしながら相手をする。無意識にそうしている気がする。仕事のときは女(ジェンダー)としてのウエイトが大きくなるし、交友関係だとその相手との関係性により女(セックス)のウエイトが大きくなったりする。私はセックスとジェンダーを切り離して相手を見ることはしていないし、出来ないと思っている。

私が見たことのあるジェンダー問題論議では、大体は女(セックス)が不本意な見方や扱いを受けているのを問題視して言っている印象がある。それなら女(セックス)の身体や精神などの能力に男(セックス)との差(それをどういうものと見るかも問題だが)を認めつつその問題を平等感あるようにして行くことが課題ということなのだと思われる。そして、いままでのいわゆるジェンダーが人類の歴史の中で決まって来たのはそうであることが人類として求められていたからという私なりに思う経緯が当たっているならば、ジェンダー問題の解決も人類の中で必要に応じて求められる変化を経てだんだん普遍的なジェンダーに成って行くことでなされるのではないかと私には思える。

だからテレビのジェンダー問題論議で見た男社会が悪い、男が悪いと言い募るジェンダー研究者の目指しているジェンダーを確立して行くその過程がどういうものなのか気になっている。男女間に男女であるが故に秘めやかに存在するグレーゾーンを安易に断罪し無理に明確にしようとしたら社会は住みにくくなる。そこに愛はあるのかと思ってしまう。大地真央の貸金業のコマーシャルではないが、そこが気になっている。私は人間は男女を問わず色気あるいはセックスアッピールを感じないジェンダーだけの味気ない存在ではあり得ないと思っている。

憎しみを煽るような批判や非難から出発するのには違和感がある。批判や非難される問題をなくすのではなく、人類として生存・存続のためにそうすることが強く求められる変化が定着するようになってこそ問題は解決されると思われる。そしてその結果はいま批判や非難するひと達が思っている姿と異なるかも知れない。長い歴史の中でジェンダーが決められて来た根底には、人類の生存・存続には、そう呼ぶことに気づいていたかどうか知らないが、男女の思いやりや愛が不可欠で、それが役割を決めて来たのではないかという気がする。


補足: ジェンダー平等_やはり男女の違いを認めないと
近年ナースは看護師と呼ばれ女性だけのものではなくなって男性看護師も見られるようになった。妻は病院で医師になら前をはだけて診察を受けても特に感じないのだが、看護で男性看護師が来て前をはだけなければならないときにはとても嫌だと言っていた。病院はその仕事あるいは作業によっては男性がすることと女性がすることはきちんと区別して分担させるようにして欲しいものだと言っていた。ジェンダー平等と言ってもなんでも同じでは困るわけである。ジェンダー論議ではその辺が手薄な印象がある。


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