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参議院議員選挙に絡んでテレビで政策などを論評する番組を見たりする機会が多くなったが、女性の登用率を上げるとか女性が働きやすい社会にするとか、そういう女性の活躍推進に関する話題の中で、ある人が取り巻く環境や慣行を変えず女性にさらに頑張ることを期待するものがほとんどなので、女性の負荷は増えるばかりで幸せな人生にならないという発言があった。
そもそも女性の活躍推進は、将来の社会保障費の増大に対応するために支える人数を増やそうというのが、はなしの発端のような印象を私は持っている。また少子化対策も同根である印象を持っている。
少子化対策としては、まずは男女が結婚できる収入が必要である。次に結婚した男女が子を得る機会を増やすために一緒にゆったりと触れ合える時間が必要である。妊娠から出産までの女性が働きやすい職場環境が必要である。出産したあとは男女とも育児休職してもペナルティなしで復職が可能な職場環境が必要である。職場復帰後職責を果たすためには保育サービスの充実が必要なのは言うまでもないが、労働は幸せな人生を得るためであるという根本を考えれば親子が十分に触れ合える家庭生活が成立する労働条件の整備も必要である。また子を得ても教育費の問題もある。それらが見通せなければ子を持つ気持ちが盛り上がらない。
女性活躍推進と少子化対策は将来の社会保障に重要だが、女性の収入増大という観点からは女性の活躍推進は少子化対策の一面もある。そして収入増大問題の行きつくところは同一賃金・同一労働である。そして同一という定義がどういうことなのかという問題はあるが、女性活躍という観点からはいろいろな男女格差を解消することに行き着くわけである。そして男女格差解消という観点からは、賃金や労働環境・慣行の改善、福祉のあり方などが少子化対策にもなって来るわけである。
働き方、子育てを含む家庭生活、介護の負担、その他。これらで男女の区別はあるのは当然としても男女格差が解消されなければ、社会保障を支える女性はいままで通り一部キャリアウーマンということで女性活躍の推進はその方面では成果があまり出ないのではないかという気がする。
それにしても各政党の女性の活躍推進関連の公約の視点がいかにも都会的なのが気になっている。経済成長があまり望めなそうなこれから時代、パイは増えないのに賃金増大につながる女性活躍人数増や同一労働・同一賃金を推進することになれば、企業と人材が集中している都会では成立するかもしれないが、都会と地方の格差は増えるかも知れない。妻に言わせれば都会と地方で女性の幸せについての考え方も異なっているのではないかということである。
テレビ番組では女性の活躍推進における女性に関する話題が多かったが、女性の活躍推進でいままでの男性分野に進出する女性が増えるとすれば、男性がいままでの女性分野へ移動しなければならないことになるわけである。女性だけに関する課題に終わるわけではない。影響は男性にも及ぶわけである。そして女性の活躍推進には男性の活躍分野移転についての目配りも必要と指摘する発言もあった。
少子化対策でいま出産率が増えても社会に効果が反映さ始めるのは20年先である。女性の活躍推進も社会のシステム・慣行などに反映されるには多分旧い意識でいまをリードしている人間の退出を待たなければならない。いずれも成果はすぐ出ないのだから、かなり先を読んだ上での論議や決断が必要なのだが、選挙公約は目先のアッピールに傾きがちな印象である。
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