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  たわごと編: No.367  
  2016.10.10 実現可能な望ましい提案は無理かも  
 
  私はいまの政府の政権運営に一抹の不安はあるものの、一度民主党に期待したがその期待を裏切られたトラウマがあるから、民進党には例えばノーベル賞大隅教授がいまの風潮を心配するに似た基礎研究をおろそかにして旧来知見の実用成果だけ追及している感じがあって、どうしても批判的に見てしまう傾向がある。また日本をとりまく世界・環境の変化に対応する通底戦略を明示せよとは外交・防衛上支障を来すから言わないが、国政を任せ得ると憶測させる雰囲気も匂って来ない。私は民進党にそんなあまりよくない印象を持っている。以下そういう私の最近見聞きしたことに関する感想である。

民進党代表蓮舫氏が党の主張を提案型にして行くと宣言したのに対し自民党高村副総裁が実現可能な望ましい提案をと述べたのに反論し、昔も今も実現可能なものしか提案していないと反論していたが、蓮舫氏あるいは野党は思い違いをしているのではないか。高村氏の言う実現可能な望ましい提案とは政府・与党が飲める提案のことである。自分たちの正義だと言い募っても政府・与党が納得できないものは実現しない。

自分たちの提案を政府・与党に納得させるように説明・説得を尽くさず、自分たちの存在証明のためのようなやり方で提案をしても通らない。議員数比率は委任民意だとすればいまの政府・与党は高い委任率で野党の協力がなくてもやれる。そして野党は委任率の低い少数なのだから、政府・与党の批判と一方的正義の主張だけの政府・与党が飲めない提案をしている限りでは少数意見集団に留まることになると思われる。

臨時国会が始まったが序盤の国会中継での民進党とその関連質問を見る限りでは政府が逆質問できないのをいいことに相も変わらず閣僚を貶め点稼ぎしようと揚げ足取りをし非難する姿勢が目立つ印象だった。キャスティングボートを持たない立場で政府・与党の政策・主張を変えようとしたら、自分たちの主張と政府・与党の主張が折り合ってWin-Winの合意が得られるようにするしかない。政府・与党が言う望ましい提案とはそういうものであると思われる。ところが一向に提案型路線でやって行こうという姿勢が見えないのである。

例えば今国会首相所信表明演説中のスタンディングオベーションがよいとは思えないが、かつて自分たちが鳩山首相のときにしたことはよいが同じことを他人がしたらいけないと非難するのは一方的正義論である。またフジモリ大統領の二重国籍を問題視していた経緯がある党重要ポストの人物は党代表の二重国籍問題にはだんまりなのも都合のよい正義ということになる。

また稲田防衛大臣がジブチ行きで靖国参拝せず全国戦没者追悼式を欠席したのはいままで言ってきた信念と違うではないかと非難するに至っては、過去に向き合う儀式の方が国家の現在の課題のために行動するより重要だと言っているに等しい。こういう正義感や価値観追及のおかしさに気づいていないのではその議論に迫力がない。実はそのおかしさは分かっているのだが、まともに提案型路線を進める気はないから、わざとその場の議論でやり込め自分たちの存在証明を得ようとしているとしか見えないわけである。

私は目を怒らせ歯をむき出してものを言う印象の蓮舫氏に魅力を感じない。一番を目指しても結果は何番手になるか分からないのに、手を抜いて二番を目指せばもっと後れを取るかも知れない。総理つまり第一党の党首を目指していると公言しているが、なぜ総理何番手か分からない野党党首のままではいけないのか、その答えは分かっているわけである。それなのに事業仕分けでなぜ二番手ではいけないのかと言ったわけである。そのころから私は蓮舫氏は嫌いである。

また関西弁でまくしたてる小賢し顔の辻元清美氏を私は嫌いである。私は生理的な嫌悪感も持っている。国会劇場化に加担した犯人の一人だし、秘書給与流用事件でのごまかし発言以来その言動をあまり信用していない。今回の辻元氏の追及に涙ぐんだという稲田防衛大臣の資質はこれからだんだん明らかになって来るだろうが、辻元氏は靖国参拝したり全国戦没者追悼式に出席していたのだろうか。そうするのが国家のいまの課題を果たすことより大事だとばかりに自分のリベラル・左翼の信念・主張に反する正義を前提とした追及をする姿は辻元氏の資質を疑わせるものである。

代表代行の長妻氏は憲法改正問題を取り上げていた。私が気になったのは、自民党の改正案と言われるものの位置づけの底意を勘繰っての攻撃に終始していた感があったところである。首相は憲法調査会で各党の提起したものを議論してくれと言っている。議論をすることを受け入れず自分の勘繰りや意見が正しいと言い募るばかりの印象だった。多分頭はよいのだと思われる。それで相手の言い分を聞いて話し合うよりは言い負かすことがならいになっているようである。しかしディベートに勝てばよいという姿勢では協議と妥協が前提の提案型路線とは言えないわけである。厚生労働大臣時代、官僚に受け入れられず就任・退任時に出迎えや見送りがなかったのも、言い負かしてねじ伏せるという姿勢が災いしたものと思われる。

補足1: 
採決時に強行採決というビラを出す準備ができていた
2016.11.05
昨日のTPP委員会採決時に民進党らしき野党議員が強行採決反対のビラをもって委員長席に迫った様子をTVニュースで見た。それを見て私は採決を強行採決だと主張することを事前に決めていたという印象を持った。だから事前にビラを準備できたわけである。成立するに決まっていると踏んで政府・与党を非難する自分たちをアッピールするための準備をしていたわけである。こんな猿芝居まがいのことは有権者には見抜かれていると思わないところが、民進党・野党の限界かも知れない。もっと本質的な問題に努力を傾注したらという気がする。

補足2: 
稲田防衛大臣は少々危うい感じ
2017.02.10
本文記事の時点では、私は稲田防衛大臣の様子をまだ見てみようという気持ちだったが、その後の言動や国会発言などを見ていて少々危うく感じるようになった。信念と深謀あってのことだという今までの印象は間違っていたような気がして来た。信念と深謀あってのことだと思って任したら浅薄なことがばれて来た
ようで安倍首相もがっかりではないかと思われる。
(追:2017.07.28 稲田防衛大臣が辞任 PKO日報公表問題への対応説明や都議選での自衛隊政治利用発言問題への釈明などで資質が問題視されていたのが要因だということだが、問題発生からかなり時間がたっての辞任表明であった。自衛隊の情報リークが政権への反発(シビリアンコントロールの綻び)でないと言わんがため、ここまで引き延ばしての辞任劇だったのではないかという見方もある。)


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