My logbook : 屋久島方丈記 
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  たわごと編: No.260  
  2015.01.12 好きになれないやり方あるいは投票行動の背景  
 
  12月の衆議院議員選挙で共産党が人数的に倍増以上に勢力を伸ばした。とは言え20名余である。報道ではなぜ伸びたかと言えば与党の土俵(アベノミクス・この道しかない)に乗らず自分たちの断固たる主張を訴えたから、今回は曖昧な他党より分かりやすいということで投票したひとが出たからだろうという見方があった。私はその報道は、自分が嫌だと思っていることに反対という主張に自己中心的なひとたちが比較的多く惹きつけられたということを意味しているのではないかと思っている。そういう主張の類をしている党は共産党だけではないが、折り合いを付け少しでも良くなることの積み重ねをして行く性格の議会政治において自分の嫌なことに断固ブレないで反対しそうなところが自分の安全安心だけしか考えていないひとたちの関心をより多く引いたのではないかといことである。

誰だって税金が安いほうが良い、自分の暮らしが楽な方が良い、戦争はしたくない、危なそうな原発はいらない、基地はない方が良い。自分だけが良ければ良いということで考えればそうあってほしいことばかりである。こういう類の主張は他のことを考えず自分の安全安心だけをを求めるひとの思いを代弁している印象がある。誰だってそう思っている。思っていないひとはいないと思われる。しかしこれらは世界の情勢の影響を受ける日本あるいは日本全体として成り立っていくという前提があっての主張でなければ、自分だけが安全安心であれば良いという自己中心的主張になってしまう。他の人たちが努力して維持しているシステムに只乗りしてそれでよいのだと言っているに等しい。

思うに政府や与党はそういう前提の中でものを言わない訳にはいかない。だからそういう前提の制約条件のもとでものを言っていると私は思っている。ところが野党やその他ではその主張の前提をぼかして自分中心でしか考えないひとを取り込もうとしていると感じさせる面がある。例えば税金を止めるとしてその代わりになる財源をどこかから捻出すると言うがそのあても曖昧でただそうしたいと述べているにすぎないかもしれない。言っていた財源がなかった民主党の例もあるから、具体的にしてくれないと困る。行政サービスの拡充も然りである。

戦争はしたくない。そうは言っても相手が戦争を仕掛けてきたときどうするのか。外交努力も功を奏さない場合どうするのか。それこそ日本がどうなり自分たちがどうなるのか示して主張してくれないと困る。アメリカの衰退で中国の軍事的攻勢が拡大している。反日国家韓国の米韓同盟も雲行きが怪しい。中国が仕掛けて来たらと考えた対応策が必要ではないのか。集団的自衛権行使可能にして日本と行動を共にする国と互いに援護し合えるようにしないなら有事の際どうするのかまで説明して集団的自衛権行使反対の主張をしてくれないと困る。また辺野古への基地移設については、現実を知って民主党も鳩山総理のとき辺野古しかないと認めたわけだから国会勢力としては辺野古容認大多数ということになるのだが、その判断を覆すに足る説明がないと困るわけである。

またロシアがウクライナに端を発して欧米との対立が深まりつつあるが中東にその争いが広がれば日本の石油輸入に支障をきたすかも知れない。なるならないは情勢の推移次第だがそうならないようにするための安全保障活動に備える必要がある。集団的自衛権行使も視野に入る可能性もある。世界情勢を見通しその結果がどうなろうと日本経済そして国民の暮らしに影響が出ないようにどうするかということだが、集団的自衛権行使問題のみならずエネルギー問題についても原発をなくした場合いまのような日本経済・国民の暮らしをどう保証するのかあるいはどういう痛みがともなうのか説明してくれないと困るわけである。

私はただ自分が嫌だという気持ちの強い自己中心的なひとたちにそれでよいのだとばかり、世界の情勢の影響を受ける日本あるいは日本全体として成り立っていくためにあるべき前提はこうでこの先これでどうなると説明しない主張は好きではない。一方私は安倍政権の歴史認識姿勢からと思われる世界の反発を招いた情勢認識の甘さから出たような言動に際しては日本が苦境に陥らないかと危惧を感じたものである。しかしながら衆議院選挙では、野党のいまの暮らしがそのまま続くと思わせて自己中心的なひとを取り込もうとするような主張に、政府・与党あるいは自民党以外選択肢となり得ない印象を持った。そこで自民党がなんとか上手く立ちまわって日本を自立方向に舵取りしてくれることを期待するしかないと思っているわけである。


追) ブレないことを売り物に折り合いをつけないのは怖い
民主主義・議会政治は折り合いをつける性格の政治である。その中で自分の主張に折り合いをつけずブレないと言い募るとどういうことに成るか。相手が折れて自分の主張を受け入れない限り反対を貫き通すことになる。弱小で結果に影響をもたらさないままの勢力ならそれでもよい。しかし何かの拍子でもしそういう勢力が勢いをつけ牛耳ることになれば彼らと異なる意見は反映されないことになる。独裁的政治になってしまうわけである。そういう勢力はその内部において異なる意見の折り合いを付けているかどうかは疑問である。ブレず折り合いをつけない主張を繰り返す姿勢と矛盾する内部の異なる意見の存在を公開しないからである。そして内部も独裁的である可能性が高い。私はそういう勢力を怖いと思っている。

補足1: 粋がるのも怖い
2015.01.22
安倍首相の中東訪問中にイスラム国が日本に人質の身代金要求、支払わなければ殺害と予告。昨年日本人が拘束され家族に身代金要求があったことは知っていただろうに、情勢認識の甘さから出たか安倍首相が中東訪問国でのウケ狙いのようなイスラム国と戦う国を支援するとの一言が今回の事態を招いたとの見方がでている。そうであればまたいっときのウケを狙って粋がって後で苦境に立つようなことをしたことになる。それにしてもなぜこの時期唐突に中東訪問することになったのかと裏を気にする向きもあるようである。対テロ戦線に日本が引き込まれなければよいのだが。

補足2: 敵の敵は味方とばかり政権攻撃の輩
2015.01.27
野党の議員やリベラル気取りのひとたちに、イスラム国人質事件で人質救出に配慮すら示さず政権攻撃の機会到来とばかりイスラム国を利するような政権攻撃をする様子が見られた。共産党は国家の危機にそれはまずいと党内引き締めに動きその効果は出たが、民主党は上層部が引き締めに動いたものの一部にその効果が及んでいないようである。今の時点で執拗に攻撃する輩はものごとの軽重が分からない単細胞かそうでないならば不穏分子かも知れない。冷静な分析と批判・提言は必要だがなじるだけのような発言は慎んで然るべきと思われる。


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