屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.276 屋久島(148): ミステリーが好きのこと  (H20.07.21)

合併で出来た屋久島町の現町長が屋久町の町長だったときの疑惑を告発する記事の載った文書が5月に住民の一部に送られてきたという話は聞いていたが、私のところには7月7日その第2弾という文書が初めて送られてきた。その文書は熊本にある出版社の月一発行と思われる告発ジャーナルである。熊本地方で定期購読者が数千人という情報がある。

文書の内容については町長が議会で何らかの対抗措置をとることはしないと言っているから疑惑に相当するかどうかの判断を別にすれば多分文書の指摘する事実はあったと認識しているのだと思われる。そして実際は町長の認識と異なって疑惑は濃いのかもしれない。しかし私は疑惑告発の動きに対しては距離を置いて見ることにしている。前回文書が送られてきたというはなしを聞いたときにも漠然と思っていたのだが自分のところへ送られて来て、さらにその動きに胡散臭さを感じているからである。

告発される側は明確だが、告発している側が隠れているように見える。もしそれが公益通報ならそれは通報者保護ということかもしれない。しかし大手メディアなどへの通報ではなくなぜ熊本の出版社への通報なのか。またその出版物をなぜ屋久島に無償配布しているのか。あるいはまた出版社の独自取材ということでもなぜ熊本の出版社が疑惑を持ったのか。そういう疑問から裏になにかありそうな気がしてしまうのである。いまのところ私の興味はその動きのミステリアスなところにある。

私の興味があるひとつは、文書の発行元から贈呈ということで送られてきたのだが、私の住所・名前をどこで入手したのかということである。我が家の電話は電話帳には載せていないから、行政機関、金融機関や病院その他いままでに名前や住所を登録・通知している機関・団体・企業あるいは個人的知り合いが発行元に教えているのではないかという気がして、何処があるいは誰がそういうことをしているのか興味がある。

次の興味は、熊本で地域購読を対象に毎号数千部発行の文書で対象地域でない屋久島のことを取り上げることおよび定期購読者のほとんどいなそうな屋久島に配布することの理由はなにかということである。屋久島町住民のどのくらいの人たちに送付しているのか知らないが、無償で贈呈ということから見て誰かが資金を出して屋久島町住民の注意を喚起することあるいはその結果町長糾弾の活動が沸きあがることを狙っているのではないかということが考えられる。もしそういうことならなぜ表立って自分で行動を起こさず人を動かしてやらせようとしているのかということになる。誰がなぜというところに興味がある。

次の興味は、情報源は誰かということである。文書に指摘の疑惑内容は詳細である。熊本の告発ジャーナルが対象地域でない屋久島の疑惑を取り上げるにはきっかけがあったことは想像に難くない。誰かが何らかの意図を持って持ちかけたのではないかということが考えられる。多分その誰かが詳細な情報を提供しているのだと想像できる。仮に文書記事の署名者が疑惑を探知し取材したにしても、その情報を網羅的に調べ上げるにはかなり屋久島事情に詳しい誰かの協力があったのではないかという気がする。その誰かは配布を企図した誰かと同じなのかその意を汲む誰かなのかも興味がある。

ということで興味のつまりは、文書配布を企図した誰かあるいは何処かの動機はどういうものかということである。不正を憎み告発して屋久島の行政の健全化に寄与したいと願いながらも自身で表立って行動すると潰されてしまう立場の弱い人あるいは勢力が告発ジャーナルを利用して島内世論を盛り上げようとしているという見方も出来る。しかし熊本の告発ジャーナルが定期購読者もほとんどいない屋久島のことをただで取り上げ、ただで配布するものなのかという疑問が残る。となれば権力争いの一端かもしれないという気もするのである。屋久島行政の主導権を握っている現町長とその支持勢力の弱体化のために彼らの不正疑惑で島内世論を盛り上げ、権力の移行を狙っているという見方も出来る。それなら資金も出そうである。

そして今後に対する興味である。私は不正疑惑の内容自体より文書配布事件の全体的構図と成り行きに興味があるのである。誰がどういう目的で仕組んだのか。今後それらが明確になって住民世論が沸きあがるのか。そしてそれが誰の主導で住民の活動として展開されるようになるのかあるいは訴訟などの告発行動になっていくのか。私は告発側・被告発側の各登場者とその関連図を詳しく知りたいし今後の成り行きがどうなるのか見てみたい。私の興味のあり方はミステリー小説を読むあるいはミステリードラマを見るに似ているのである。
 

補足1: マクベスのやり方のこと  (H20.07.28)

田舎には、いわゆる正義とずれた感覚がゆるされるみたいな田舎のやり方のようなものもあるかもしれない。そして多分田舎の政治で問題になるのは、そういうところかもしれない気がする。私が見聞きするところでは、いまのところ町長の疑惑で町が揺れている感じがしないからそういう気がする。

地元であまり違和感のないやり方が、外から見るといわゆる正義に悖ると見えることがある。そしてそのやり方は地元住民がそれなりに食っていける知恵あるいは伝統みたいなもので、良し悪しは別にして以下の抜粋記事の「村の実態になじんだ融通性にとんだ地元巡査のやり方」と通じるところがあるような気がしている。

(以下、H18年6月19日の「偏見ご免のたわごと編:No.211・駐車違反取締りのこと」の記事からの抜粋)
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CSテレビで見た「マクベス巡査」というイギリスの田舎の村の巡査のドラマで、長年地元勤務の巡査が休暇をとる。本部から臨時派遣の使命に燃えて張り切った巡査が来て業務を代行する。派遣巡査はコチコチ頭である。事務所で村の実態になじんだ融通性にとんだ地元巡査のやり方を知り怠慢だと非難し始める。そこで地元巡査の助手が住民と図って一計を案じ、地元巡査のように仕事をしようと言って田舎の村の不問に付していた違反をどんどん派遣巡査に摘発させる。日本で言う国策捜査みたいなことを馬鹿まじめにやるわけである。

ある人は家でソーセージを造っている。その味がよいからと評判になり金を取って欲しい人に譲ってやっている。それは食品衛生法違反だといって逮捕する。ある人は家で果実酒を作っている。それをやはり金を払って譲ってもらう人がいる。密造酒売買で彼らを逮捕する。普通通行しているところを通ったり空き地に物を置いたらどこかのなんとかの土地なので不法侵入とか不法占拠等々、そういうむかしから村で当たり前のようにしていることをどんどん摘発させると、留置場がいっぱいになる。彼らの食事を作り、調書をとり一旦釈放する。これを毎日すると派遣巡査は休む暇もない。

辟易してくる派遣巡査に助手は、地元巡査はいつもこれくらい忙しく仕事をしているのだと言って、大変な仕事をしているのだと思わせる。そこへ地元巡査が帰ってくると派遣巡査は忙しさから開放されほっとする。そしてその村の警察業務は大変でそれを地元巡査はよくこなしている、帰ったらそう報告しようと思わせられて村を離れて行くというはなしである。
・・・・・・・・・・・・。
(以上抜粋記事)
 

補足2: 住民訴訟のこと  (H20.08.06)

報道によれば、屋久島町の町長が旧屋久町の町長時代に「中心市街地活性化事業」で価値の無い土地を不当に高い値段で購入し町が損害を受けたとして、町長に対し約1億1760万円の返還を求める訴訟を住民(全員移住者・5名連名 という情報もある)が起こしたそうである。

議会や旧来地元住民の間で盛り上がりが見えないのは、山本夏彦が「茶の間の正義」で言うところの席を同じくしないものの正論を傾聴する価値ありやということかと思われる。表沙汰になればなんらかの裁きを受けなければ収まらないが、やれる力と立場があれば自分たちもやったであろうという思いに正直なのかもしれない。

補足3: やはり盛り上がっていなそうなこと  (H21.03.10)

屋久島関係のブログで住民訴訟など町の問題を取り上げているところが約三つあり、一つでは動き始めた住民と題して盛り上がっているというような記事が出ていたが、最近訴訟の当事者らしき人の発信しているもう一つに黙っているひとびとが多いと嘆く記事が出ている。他のブログで取り上げるところもなく移住者も含め住民の間で盛り上がりが見えないということのようである。

補足4: 助っ人のこと  (H21.03.24)

補足3にあるように、屋久島関係のあるブログで町長疑惑追求の活動に人々が黙っていると嘆いていた記事があった 。そして私は今まで報道や他のブログを見ていた限りでは移住者の有志が立ち上がったという印象を持っていた。しかし今日そのあるブログを見たら、地元の人たちで問題意識を持っている人は多く、その人たちの助っ人として都会の仕事でもまれ論戦などに慣れた移住者が表に出る役目をやっているというような記事が出ていた。

助っ人的だったかどうかは知らないが、私には過去に環境活動家みたいな人とか革新政党の人とかオンブズマンという移住者たちが目立つ行動を起こしては消えて行った印象がある。そこで私は今回の活動が持続し地元の人たちに受け継がれていくかどうかに興味がある。


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