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  偏見ご免のたわごと編:  No.263
外国人労働者問題から考える_日本のこれから  2023.11.02
  No.259:移民あるいは外国人居住者_受け入れの覚悟(2023.10.19)」の続きである。視点は日本人がしたがらない仕事を外国人労働者にしてもらおうという発想はいかがなものかということについてなのだが、一面的で極端な見方であることは承知の上でのはなしである。

移民でなく難民でもない外国人居住者のうちの労働者の一部について、労働力確保の観点から政策的に募集されたいわゆる外国人労働者の問題がある。日本人労働力の確保が出来なくなった分野の仕事に従事してもらいたいということのようだが、なぜ日本人は従事しなくなって来たのか、その理由を考えてみる。

日本人の生活水準が上がっていまがあるわけだが、その水準を維持した生活とはどういうものなのか。私が思うに、日本人として生まれそれなりの教育も受けたとしても世の中を動かして行くに欠くことが出来ない仕事があるわけだが、それらの仕事のうちには思うような水準の生活が出来ないものがあってそういう仕事に就きたくないということがありそうである。

少子化だけが要因ならば、いずれ少子化で規模が縮小して行くのに合わせた社会になれば就業状況のバランスが取れて来ると思われるのだが、いろいろな文化が生まれてつまり生きて行くのに必須でない仕事が生まれていまに至っている社会で、生きて行くのに必須でない仕事に就きたいひとひとが多いとなると、それなりに誇りが持てる生活が保障されなければ必然的に社会を維持するに必須の仕事に就きたがらないひとが増える。ただそういうひとがどれくらいいるのかそしてまたそういうひとが労働力不足にどれくらい影響しているのか私は知らない。以下、多分かなり影響していると思い込んでのはなしではある。

どんな仕事についても、それなりに働いていれば結婚し家を持ち子どもを持って生きて生涯を終えられる。それなら生活を得ようという意欲が湧く。しかし仕事によっては仕事についても生活を得られない不安があるのが現実である。そして生活を得る見通しがないなら低収入・重労働より低収入・軽労働という選択をするのも当たり前である。

日本人労働力の確保が出来なくなった分野の仕事は日本人がそれなりの収入が得られないから敬遠しているからではないのか。そして日本人が就きたがらない仕事をそれでもやりたいというひと達・外国人労働者にやってもらおうという発想は間違っているのではないか。私は社会を回すに必須などんな仕事に就いても、それなりに働いていれば結婚し家を持ち子どもを持って生きて生涯を終えられる賃金を保証しない限り社会は回らないことになるのではないかと気になっている。

社会を動かすにはいろいろな仕事に満遍なく分散配置すなわち就職しないと社会は回らない。例えば大学全入になったら大卒が世の中のいろいろな仕事に満遍なく就職しなければならなくなるわけである。仕事に貴賤はないとは言え、能力によってその仕事に就けるか否かは当然の成り行きである。となれば能力によって収入に差は出るのことがそれなりにあるのは当然である。そして高い能力を求められる仕事に付けば高収入をえられるのも当然である。しかし仕事によって収入に格差はあっても、その格差をそれなりの差に押さえるようにしないといけないのではないかということである。

皆がそれなりに生活を得られる社会になれば、能力の高いものはその能力がさらに発揮できるように、それなりの能力ならばそれなりにということにならないのか。そういう状況を受け入れなければ世の中は回らくなるのではないか。それにはそれなりに働いていれば誰でも結婚し家を持ち子どもを持って生きて生涯を終えられるだけの収入を得られる日本社会にする覚悟を持つ必要があるのではないか。

日本人の大方が、むかしの「貧しいながらも」は嫌でも、「そこそこの豊かさながらも、楽しいわが家」で満足するような日本になった方が幸せな人生を送れる国になるのではないのか。つまり収入格差を減らすような所得政策と比較的低収入であっても自分の能力に見合った仕事に就き人生を全うすることが尊敬に値するという価値観を国民が共有するようになる必要があるのではないかということである。

だがいまのままのいわゆる収入格差の拡大社会を肯定し続ければ、教育の機会に恵まれたものあるいは高収入家庭に生まれたものはさらに高収入を得るようになるのではないか。能力はあってもそれを開花させる機会に恵まれないものは低収入に甘んじなければならないとなれば、少子化はさらに進んでどんどん日本人の数は減少して行くしかないのではないか。日本が消滅してしまうことになりかねない。外国人労働者を求めるより、日本人みんながそれなりに家庭を持ち子を育て幸せを感じながら人生を全うする、そういう日本にしたいと自分たちの考えを変革していく施策をとる日本になろうという主張は出て来ないのだろうか。


補足: 結婚の条件_女性が高収入の男性を求めすぎると
もし収入格差が減って皆が結婚出来る経済環境は整ったとして収入の男女格差はなくなっても女性が自分より高収入の男性でないと結婚する気にならないという傾向が続いて行くとなると、成婚率は増えないのではないか。フェミニズムあるいはポリティカルコレクトネスの結果が少子化に繋がるかも知れないのではないか。女性の意識は変わって行くのだろうか。


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屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
  No.268  労働力不足と労働移民_受け入れには覚悟がいる  (2015.02.23)
  No.563  少子化対策_大多数は結婚あっての出産  (2020.02.03)
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