「沖縄に貧困がなくならない本当の理由」(樋口耕太郎著・光文社新書)を読んだ。貧困がなくならない理由は、沖縄のひと達の自尊心のなさあるいは自分を主張して生きないことにあるということらしい。例えば昇進や昇給を提示されても周りを気にして受けない。あるいは家族や地域で自分を主張できない。同調圧力が強く出る杭は打たれるから、現状維持でいいやということになってしまっているようである。その結果が賃金は全国の最低水準、貧困率は全国平均の2倍ということになっているらしい。
そういうことが原因してか、社会の好ましくない指標のかなりが全国の他の地域を圧倒して悪い。そういう沖縄問題のほとんどは戦争または本土の政治姿勢に起因するという空気感が沖縄にある。それと相俟って本土人の沖縄に対する贖罪意識がある。その結果、沖縄に数々の特別措置と手厚い経済援助を与えるだけで、本当の原因が沖縄県内にあるとはっきり口にしないで来た。そして現状維持意識に満ちた沖縄は根本的解決策を探らず対処療法的施策ばかりでいまに至っているようである。
いまSNSの広がりでいろいろな外部情報に接するにつけ、沖縄のひと達の中に自分たちの周りを気にしてあるいは疎外されるのを恐れて無気力な現状維持を続けず自分を主張してもよいという風潮も出始めているようである。そういういままでの風土を脱した思考をする人たちが、外部活動家の飯のタネにされてきた感がある沖縄の基地問題とかでも、現実に根差した判断をしてくれるようになるといいなと私は思っている。
沖縄問題の根本解決には、現状維持風土の中でいままで潰されてきた優れた思考や能力を持った人材が力を発揮できるようにすることがカギのようである。本の著者は自尊心を持って誠実に自分の思いで現実を切り開く人物の出現を待ち望んでいるようだったから、まだ先のことかもしれないが期待していてよいかと思われる。
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