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国連の委員会が夫婦同姓を定めた民法について勧告を出したり、男系男子による皇位継承を定めている皇室典範の改正を求めた勧告をする姿勢に違和感がある。国連はそもそも第二次世界大戦中世界の指導者たちが将来の戦争を防ぐための仕組みをつくる必要性を強く感じていたのがもとで第二次世界大戦が終了した1945年に誕生したわけである。国連の設立目的は、国際の平和と安全を維持すること、諸国間の友好関係を発展させること、国際問題の解決と人権尊重の促進に協力すること、各国の行動を調和させることなどとあるが、そもそもは安全保障のためであるわけである。
国にはそれぞれ文化があり慣習もある。どこかの誰かの思想には合わないものもある。それらは一部の声の大きいひとが騒いだりしても大多数の国民が納得しないことには社会に受け入れられて根付いて行かないわけである。国連の委員会の権限がどこに由来しどこまで及ぶのか知らないが、他国の文化や慣習に手を突っ込むことは止めるべきであるという気がする。その国がそれらの変革が必要なら自分たちの判断で変革して行くべきであって、急激に外部の誰かの考えだけで変革しようとするということはその誰かの支配下に入るのと同じで自国の尊厳と独立を守るに有害である。
国連の行動原則としては、以下のように定められているようである。
・国連はすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
・すべての加盟国は憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
・加盟国は、国際紛争を平和的手段によって国際の平和および安全ならびに正義を危うくしないように解決しなければならない。
・加盟国はいかなる国に対しても武力による威嚇もしくは武力の行使を慎まなければならない。
・加盟国は、国連がこの憲章に従ってとるいかなる行動についてもあらゆる援助を与えなければならない。
・憲章のいかなる規定も本質的に国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではない。
委員会の委員に選ばれたそのひと達の思想と意見で、どこかの国の文化や慣習あるいは思想などその国の成り立ちの基盤にまで立ち入って支配しようというような印象を私は感じている。そうであるならば、「すべての加盟国の主権平等の原則」や「憲章のいかなる規定も本質的に国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではない」という国連の行動原則を明らかに逸脱しているように思われる。
国連は安全保障に専念した方がよい。安全保障理事会もいま機能不全に陥りつつある。互いにその国の文化や慣習・思想を尊重しながら国家間で安全保障について話し合い約束事を決めて行くことに徹する組織であるべきである。自分の思想信条で飯を食う一部のひとに場を貸して彼らの考えで他人の国の中に手を突っ込ませることは止めた方がよい。私は最近報道された国連委員会勧告に関するニュースを見聞きして感じた違和感の訳を考えたりしていてそんな感想を持ったわけである。
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