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  偏見ご免のたわごと編:  No.310
これは安いでしょ_出した酒や料理の皿に  2024.06.20
  四半世紀を超えるあるいはもっとむかしのことである。私が食事に招いた相手から出した酒と料理の皿についてこれは安いでしょと言われたことがある。一回は会社時代の同僚から酒について、そしてもう一回は当地に来て働いた職場でエリート扱いされている人間から皿について、そう言われたことがあるのである。

酒についてはそんなに高くはないが輸入されているものでそれなりに知られているものだったが、地方のある都市出身の相手はそれを知らなかったようだった。多分その辺で安酒を並べてあるところから適当に買って来て出したと思って言ったのだと思われる。そのとき私が思ったのは、出すものの値段が高いか安いかがそのひとの食事会への評価基準になっている、そして例えば酒について言えばうまいかどうかではなく自分が想像する値段あるいは銘柄で判断しているようだということである。後日、相手は店でその銘柄と値段を見てそれなりだと分かったということを言っていたことがある。

皿については、招いた食事会で私たち夫婦が安いが面白い趣向の皿だと思ってそれを話題にしようと料理を出すのに使った皿である。料理を出したら即座に皿が安物だと非難めいて言ったのである。私は料理を出してもてなす気持ちは皿に関係なく伝わるだろうと思っていたのだが、まずは見て分かる皿の値段が食事会への評価だったわけである。

その人間の出身地のイメージは権力に弱いとか権威意識が強いとよく言われているから出されるものの安さに自分のプライドへの配慮がないのが気に食わなくてそれを難じたものと思われる。つまりはそういう配慮の出来ないものとして私を蔑んだわけである。例えば皿であってもそれなりに高価でなければ軽んじた評価をするのかと私は嫌な気分になりその出身地の人間のプライドの有り様に用心しないといけないのではという思いが残ってしまった。

以上の二例は本当は酒や皿の問題ではなく人間の出来そして礼儀の問題だと思うのだが、その地方の人間がすべてそうだと私は思っていない。都会でも地方でもどこにでもそういう人間はいる。ただ私が出会ったことを例にひとこと言いたいわけである。育ちが悪かったのか誤った自負心がなせる業か知らないが礼儀を知らないで人前でいっちょ前に振舞ういわゆる田舎者がいて礼儀をわきまえた同郷人の評判を落としているのだが、本人にその自覚がないのが気になったわけである。


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