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  偏見ご免のたわごと編:  No.261
法律_その想定に合わない問題が発生した場合は  2023.10.26
  10月初めにハマスがイスラエルを攻撃してそれにイスラエルが反撃し空爆しつつすぐにもガザに地上侵攻をしようかと準備している状況と言われている。第5次中東戦争そして第3次世界大戦に拡大して行かないよう解決してもらいたいと願っている人は多いと思われる。そういう状況を踏まえて10月22日のあるテレビ番組でハマスに対するイスラエルの攻撃の動きについてある弁護士・元外交官そしてジャーナリストが論じていた。

私なりに整理すると以下のようである。弁護士は、「国家同士の争いの場合は国家の自衛権の行使として民間人に被害が出てもやむなしという理屈はある程度通るが、ハマスは国家ではないため、イスラエルの攻撃でパレスチナの人の命を奪っていいなんて理屈はまったくない。テロ組織を壊滅するためにミサイル撃ち込んでいいとか空爆していいということはない。。国家の自衛権の行使は国家か、国家に準じる組織でないと国際法違反だ。」と語っていた。

それに対して元外交官は、国家には自衛権があるとし「相手が国家であろうが、国家でなかろうが、国民を守る、国を守るということを自衛権とするならば、その中に警察行為も対テロの対策も含まれのは当然だ」と語った。「国家が国民を守るという点で、相手が国家であるかどうかは別問題で、相手が民間人を盾にした場合には攻撃してはいけないということにならない。残念ながら巻き込まれる民間人が出てくる。ハマスはガザを実質的に支配していて国家に準ずるような行動をしている。」と語った。ジャーナリストは、「一方は民間人を殺すことを前提としていて、一方はは何とかそれを避けようとしているが、その間でいろいろな戦いが起きてしまえば、そこで民間人の犠牲が出てしまうのが現実」と語っていた。

私の印象では、弁護士は国際法のもとで許される範囲での対応で解決を図るべしという主張だが、外交官とジャーナリストは現実起こっていることに対しその現実に適した対応で解決を図るのもやむなしという主張をしていたわけである。

そこで私の感想だが、日本の憲法論議で思うことである。いまある憲法に沿えば解決出来ない問題が出て来た場合、憲法を超えて対処可能な方法があるならばその方法で解決を図ってもよいのではないのか、あるいは満足な解決を得られなくてもいまある憲法の範囲内での対処で我慢すべきなのか、どちらにするかというはなしと同じで、現実の事態にどう対処しようとするかの姿勢あるいは思想の違いによる主張と似ているということである。

私は憲法に照らして適否を判断するのが基本だということは当然だと思っている。だが憲法はひとが定めたものである。そしてそのときの状況で考えられることを前提に定めたものである。時代が進み現実が当初の憲法が前提としている状況から変化しているのにその変化に対応しようとする対処法を、いまある憲法で許されないとただ言ってしまってよいのかという思いを私は持っている。

よく憲法学者は私がそういう問題だと思っているようなことにそれは憲法違反だと言うことがある。でももしその問題が現実に新たな対処法でなければ解決出来ないならば、かつて定めた憲法で判断できない問題なわけである。なぜ、現実の変化に対応できない問題に対し、憲法をこう変えたらよいのではと憲法学者は言わないのか。いまある憲法を絶対だとして憲法の対応できない事態に対応するには新たな憲法はこうあるべきと言わないのか。件の弁護士の言い分に私はそれに似た印象を持ったわけである。

私は例えば憲法学者については憲法はいかに機能しないといけないのか考えた方がよいと思っている。現実に対応できない憲法をお題目に唱えるのではなく、その憲法より上のましな憲法にするために、安全で豊かな暮らしの出来る日本にするために、どこをどう直して行けばがよいのか研究し提案するのが憲法学者の存在意義の第一義ではないかと思っているわけである。憲法が現実世界でその機能を果たすべきときに対処不能になる懸念があるならばそれをそのままにして置いてよいというのでは困るわけである。件の弁護士は戦後ヤミ米を買って食わないで死んだ法曹人に似たこと全国民に求めるに似たことを言っている気がしてならない。。国民の中には法で禁止されたヤミ米でも食わねば生きていけなかったひとがいたのが現実だったのではないのかと思うわけである。


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