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  偏見ご免のたわごと編:  No.183
こどもからの電話_どんな老け具合を想像してか 2022.12.01
  10月のある日、長年会っていない息子から妻に電話があった。先輩のリフォーム建築事務所で一緒に仕事をやっているようなのだが、一人暮らしの90歳を超える女性の家に打ち合わせに行ったら、娘が同居してくれることになったが家の中をきれいにしてくれないと嫌だと言っているとのことでリフォームの仕事が舞い込んだようである。はなしや振る舞いははしっかりした女性で同居の必要性もなさそうに見えたが、それでもそれなりに年を感じさせられるところもあって、妻のことが気になって電話して来たようである。

妻はまだ平均寿命には至らないがもう平均健康寿命は過ぎていていま健康寿命更新中である。私が医者に行ったとき妻と同じ生まれ年というひとがいたが片足引きずっていて立ち居振る舞いは80を超えている私より老けているように見えた。また妻より数年生まれ年が若いひともいたが、杖を突きその歩みものろのろとしていて妻より数段老けているように見えてしまった。10年以上会っていないから息子も妻にそこまでは行かないがかなり老けた姿を想像していたのかも知れない。

また、ある日には娘から電話があった。コロナで友人の父親が数人も亡くなっているので私のことが気になったようである。やはり長年会っていないから、老いさらばえ弱々しい姿になっていると想像しているのかも知れない。ZOOMをやらないかと言うところを見ると姿を見られるようにしたいということらしかったが、妻も私も運転免許証の写真がお化けかと思うように写っていた経験があるからそんな姿を晒したくないので断った。

娘はちょっと前にものを送ってくれ、私がそれにお礼のメールを送ったらいつもはメールで送ってくれた事情を伝えて来ていたのだが、今回は私がいつ死ぬかもわからない歳になっているのに機と気付き電話をして来たようである。そこで私は、気になるなら何かの記念日などにものだけ送って来るよりは、気が向いたときに便りあるいは妻へのたわいない電話でもしてくれた方がよいと伝えた。画像で姿は見せたくないが、やはりそのひととなりが伝わるコミュニケーションの方がこちらは嬉しいし、そちらも想像しているより実際の状況を知れてよいだろうと言ったつもりである。

年とって来ると生活のペースを乱されたくない。訪問されるとこちらの居場所がなくなり、ごろっとも出来ず終日おろおろ動き回っていないといけない。だから来るなら宿をとって移動手段も自前で、こちらに負担をかけず会うそのときだけ家に来てくれると助かると言っているから、会う機会はなく長い年が過ぎている。そして必要に迫られる以外、便りや電話があることごくごく稀である。でも互いに気にかけてはいるわけである。そこで私としてはものを送って来る替りに便りか電話でよいと言っているわけである。だが、私たちは気にかけてはいるが自分たちの暮らしをするのに精一杯なので、勝手ながら必要に迫られる以外こちらから便りや電話をしない。お相子なのかも知れない。


補足: おひとりさまの孤独_寿命に関係ないらしい
先日ネットで見た記事によると、おひとりさまになると孤独になって命を縮めるという通説があるが、最近の研究でそんなことはないと分かったらしい。誰かと同居して同居者に干渉されるストレスの方が寿命を縮める可能性があるということである。娘がリフォームを前提で同居するという条件を飲ませたのも、もし干渉傾向の発現だったとすれば、本文にある90を超える女性は同居が引き金になって本来より早く亡くなるかも知れない。一方、むかし子どもと一緒に暮らせていたとしても、その同じ家の中におとなになった一人前のこどもがそれなりの居場所を確保出来ないなら、同居するにはリフォームして欲しいという娘の気持ちも分かる。まだ動けるうちの同居が、吉と出るか凶と出るか気になるところである。


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