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  日誌編:  No.073  
小さなヤモリ_テープの粘着面でミイラ化 2021.04.26
 
わが家の台所に置いてある棚の裏を這わせてパン焼き機に行く電源ケーブルがある。大分前のことだが設置するときケーブルの長さが足りなかったので延長コードにもうひとつ延長コードをつないでその繋ぎ部をテープで巻いて抜けないようにしてその部分を棚にテープで固定しておいた。


3月のある日妻が思い立って棚裏まで掃除をしたのだが、そのとき繋ぎ部を固定していたテープの一部がはがれていてそこに何やら黒っぽいものが付いてた。よく見るとヤモリの死骸みたいなのがミイラ化しているので、面白がるだろうと私を呼びに来た。私はテープのはがれかけた部分をそのミイラ化したヤモリの子をつけたまま切り取った。

黒く小さなドラゴンみたいで生きて見るヤモリとは印象が全然違った。むかしよく行っていた繁華街の中に漢方薬店みたいな店があって私などはヘビ屋と呼んでいたのだが、そのウインドウや店内のガラス棚に干乾びたヘビ(多分マムシ)などやヘビなどの液漬を陳列してあった記憶がある。干乾びたものを挽いて粉薬にしたものも売っていたような記憶がある。今回の黒く干乾びたヤモリを見てそれを思い出してしまった。

むかしむかしからヤモリの黒焼きかイモリの黒焼きが薬になるとかいうはなしになっていたようだが、どうなのか気になってイモリとヤモリの違いをネットで調べてみた。イモリは爬虫類でトカゲや蛇と同じ仲間でお腹の赤いアカハライモリはテトロドトキシンというフグと同じ毒をもっているということである。ヤモリはカエルと同じ両生類で蚊やハエなどの害虫を食べてくれるので家を守ってくれるという意味で漢字では家守もしくは守宮と書かれるということである。毒があったりする爬虫類のイモリが薬になるというのはマムシの例もあるからあるのかもしれない。

だがイモリの黒焼きが惚れ薬と言われて来たということになると違和感がある。そこでさらに調べてみると、元々中国ではヤモリの血を使った「やもりのしるし」という淫薬(これを女性の体に塗ると痣となり姦淫した時だけその痣が消えるという)があって、これにより後宮の秩序が守られていたため「守宮(ヤモリ)」と呼ばれていたというはなしである。そのはなしが日本に伝わってから日本では守宮をイモリと読んだりしてヤモリとイモリが区別されなかったり混同されたりして来たようである。効くのかどうかは別にして本来的にはイモリの黒焼きよりはヤモリの黒焼きの方が「守宮」伝来当時の意味合いを表していると思われる。

わが家では成長したある程度大きいヤモリしか見たことがない。台所では見かけた記憶はない。雨戸を閉めるとき戸袋から引き出した戸についていて互いにびっくりしたこともあるし、風呂場には水気があるのが好みなのかよく出る。窓にへばりついていたり浴槽やそのまわりにいるときもある。すばしっこいが捕まえたこともある。糞は戸袋の中によく見かけるので、そのあたりに隠れていては出歩いて壁の縁に隠れている虫でも食って生きているのかも知れない。


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