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  たわごと編: No.322  
  2016.01.05 慰安婦問題_不可逆的合意だとか  
 
  昨年のはなしである。12月28日、日韓で慰安婦問題解決策について合意したということである。それを聞いて思い出したのが10月7日の韓国の聯合ニュースを紹介した記事である。韓国を訪問しているブリンケン米国務副長官がその日(10月7日)、旧日本軍慰安婦問題について「甚だしい人権侵害だ」との見解を明らかにしたとあった。また日韓間の慰安婦問題ついて、「必要であれば、米国が助けることもできるが、日韓両国が直接話をするべきだ。対話を通して、お互いが納得できる恒久的な解決策を見つけてほしい」と訴えたともあった。これが本当ならば、米国の慰安婦問題についての姿勢は韓国側の主張を肯定し、日本に韓国に歩み寄って解決することを訴えているいるように見えるわけである。

9月3日の中国の戦争勝利70周年軍事パレードで訪中の韓国朴槿恵大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が2日行われ、そこで日本、中国、韓国3か国の首脳会議を10月末から11月初めまでをめどに韓国で開くことで一致したと発表した。韓国が以前から意図しているというような話があったから韓国が仕掛けたと思われるが、私としては中韓両国が決めて発表というところに日本はどうなっているのかという違和感があった。そして10月下旬に11月初めの開催を韓国が提案してきたことを考えると10月7日の米国務副長官訪韓時の発言も日中韓首脳会談の際に行われる日韓首脳会談に関連した日本を外しての米韓のネゴをわざとリークしたものと見られるわけである。

これは11月2日の日韓首脳会談に向けてアメリカが日本にプレッシャーをかけていることを思わせる。そして日韓首脳会談では慰安婦問題を早期に妥結を目指すことで意見一致したという結果になって、その後日韓で話し合いが行われ12月28日の岸田外務大臣訪韓で日韓政府が慰安婦問題解決策の合意に至ったのだが、案の定日本は日本軍の責任を認め謝罪することになった。そして10億円拠出することになったが合意文書は作成されず大使館前の慰安婦像撤去も韓国の努力目標にとどまる内容だった。不可逆的約束としての合意だが、約束内容が履行されれば不可逆ということでその確認はまた韓国の恣意に任されたような印象である。私としては反日カードを温存する韓国の作戦にまた引っかかったのではとの一抹の懸念が残る。

一応、アメリカやその他の国で合意を歓迎するとの声明もあり、世界に韓国が問題終息宣言をしたと認識させる効果はあったのかも知れない。謝罪してもそれを受け入れないというのでは謝罪は成立しないが今回は世界が立会人みたいになるわけで、日本に譲歩させ韓国の蒸し返しも防止するところにアメリカの狙いがあったという気がしないでもない。それをプッシュしたアメリカには日米韓の連携を確実にすることが何らかの戦略の一環だったのかも知れない。政府はそのあたりを織り込んで今回の合意判断をしているのかも知れない。

しかし私としては、朴槿恵大統領の千年の恨みという発言(韓国の深層的認識は不変というような発言)を撤回していないし、売春婦輸出国と世界で言われている韓国がそれを想像させるような慰安婦像を韓国のシンボルのように世界中に建てようとしているのを看過しているようでもあるから、合意内容履行の確認が韓国の恣意に任されていることと合わせ、韓国がまたぞろ問題蒸し返しに走ることは大いにあり得ると思っている。世界の合意評価がどのくらい歯止めになるかということだが、アメリカの慰安婦問題への理解が「甚だしい人権侵害」だということであれば手のひら返しもあり得るわけである。私としては、中韓は現状敵性国家的振る舞いをしているのだから、日本としては言い分があれば合意せず是は是、非は非とそれぞれについて事実を訴え続けて行く、そしてあとは経済的に(経済戦で)優位に立つ、その努力を続けて行くのがよいと思っていたのだが、今回アメリカのプレッシャーに押し切られたのかもしれない。

補足1: 蒸し返さないという言葉の解釈
今回の日韓合意での慰安婦問題を蒸し返さないという言葉についての私の解釈では、日韓両政府が互いに慰安婦問題での非難合戦(攻撃・反論)はやめるということだと思っている。日韓政府は合意内容を粛々と実行すればよいわけである。日韓関係は日韓政府が合意内容を以って維持していく。その表明が蒸し返さないという言葉でないと意味がないわけである。ただし政府間の合意ということは学者や研究者その他が今後も政府保管の関連資料公開を求めまた民間資料も含め歴史を研究することは妨げられない。そしていまの理解と異なる結果を発表・発言したりそれを受けた世論の変遷があってもそれに関しては両国政府は影響されないし干渉しないという意味もあるわけである。今後の新たな知見が日韓政府の意に沿うか否かは問題にしないということである。日韓政府がそういう意味合いもある合意内容を以って粛々と日韓関係を維持していくという意志の表明が蒸し返さないという言葉についての私の解釈である。そして多分日本からはその意志を放棄することはないと思われる。今までも慰安婦問題では日本を貶める言論や行動であっても日本では自由になされて来たからでる。
 「参考: 慰安婦問題の経緯(私がネットで見かけた記事から年代順に並べてみた)」


補足2: 北朝鮮が水爆と称した核実験実施
2016.01.06
アメリカが日韓合意をプッシュしていたのは日米韓の連携を確実にすることが何らかの戦略の一環だったのかも知れない。また政府はそのあたりを織り込んで今回の合意判断をしているのかも知れないと本文に書いたが、北朝鮮のいわゆる水爆実験はアメリカの何らかの戦略の流れの中での出来事かも知れない。

(関連記事)
屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
  No.189  韓国の考えは変わるものなのか  (2013.10.14)
  No.383  慰安婦合意は韓国の日本への公開証文でもある  (2017.01.09)
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