My logbook : 屋久島方丈記 
Home > backnumber目次 > 記事  
  日誌編  ・ 偏見ご免のたわごと編  
  たわごと編: No.208  
  2014.02.10 世界なんとか遺産指定の目的は  
 
  韓国が先の大戦中に慰安婦だった女性らに関連する資料を整理しユネスコの記憶遺産に登録する計画を進めているとのことだが、それは韓国がいわゆる従軍慰安婦問題について官民一体で国際社会に働きかけて日本に圧力を加える戦略の一環だという見方も出ている。また日本の明治産業革命遺産を世界文化遺産としてユネスコに登録推薦の動きに対し、韓国が韓国人が強制徴用されて働かされた場所だからということで反対を言っているそうである。いずれも韓国の政治的な意図のもとに行われているような印象であるが、以下遺産登録制度というのはそういう意図が通らないような仕組みでなければいけないのではないかと思っての感想である。

まず私は、世界なんとか遺産というのは、維持したり保存する資金がある国などでは登録する必要はないもので、維持・保存する資金がない国などがその不足資金の援助を受けるために指定を受けるものに限れば良い、と思うものである。当然保存・維持する価値があることが前提だが、それでもその国などがユネスコのお墨付きを得なければ維持・保存しようと思っていないようなものは指定に値しないわけである。

維持・保存の資金がある国などは維持・保存する価値があると言うならば指定されずとも資金を投入し維持・保存しその存在も世界にアッピールしていけば良いのである。そういう国などが権威らしきユネスコの指定を受けたいというのは、その目的が権威に釣られる観光客を招こうとかあるいはその価値が危ういものを権威で裏打ちしようとかいうような下心にあるという気がしないでもない。

一方維持・保存する資金が不足する国などでは自分で他に援助を求める以外に、遺産の存在と価値を国際的にアッピールし組織的援助を得る目的で指定を受けられる仕組があると助かる。こちらが本来の世界なんとか遺産指定の本来的な目的なのだと私は思うわけである。遺産指定のなかった時代でもその国などの内外を問わず誰かが維持・保存しなければと思ったものは、誰かがあるいはどこかの国が援助してその努力をしてきたものと思われる。それを国際的レベルで範囲を広げたのが遺産指定制度だと私は思いたいわけである。現状は国連官僚が自分たちの仕事を増やすために要らぬ仕事にまで領域拡大した結果かと勘ぐれないこともない。

本文冒頭の例で言えば、韓国で慰安婦関連資料を記憶遺産にしようという動きについてだが、自国でいわゆる慰安婦資料を集めるということだからその資金は十分で資金援助は要らなそうである。そうなら私から見れば指定を受ける必要はないわけである。また日本の産業革命遺産も自国で維持・保存できるし、こういうものがあると世界に公開していく資金力もある。これも私に言わせれば指定を求める必要はないわけである。近々話題になった知覧の特攻隊員の遺書などもユネスコの権威に頼らず地元や国できちんと維持・保存しPRする。これもやれないわけではないのである。

私としては以上の考え方から、世界なんとか遺産は本来資金援助要請目的で登録申請、審査・指定すれば良いのだと思うわけである。そして指定された遺産あるいはその存在地に観光価値がある場合は、地元や国などが望んでいるか否かを問わず権威付けられた観光地にも成り得るおまけが付くわけである。また審査・指定の際、政治化している内容を含む場合はプロパガンダに陥らないように何らかの政治利用排除の仕組みが働くようにでもしないと、遺産登録がその趣旨を外れ政治的手段に成り下がってしまう。現にその兆候が冒頭の例に現れている気がするわけである。

補足1: 何でこんなくだらないことを
本文を書いたあと、自分でも何でこんなくだらないことをと思ったりするが、中韓との情報戦に日本が負けているという感じがしてもどかしいからのようである。日本が今どう振る舞えばよいのかという認識がどうなっているのか、いたづらに相手に攻撃の口実を与えるような例えば靖国参拝をしたり、その総理におもねるようなNHK会長や経営委員の百田氏の発言、そしてまだ記憶にある橋下市長の風俗利用発言など、外交的にきちんとした事実の主張や反論をせず、思いとその思いが吹かせる風になびいたような行動と発言ばかりが目につく感じだからである。どんどん世界を相手に日本が負けていく、そういうことにならないようにどういうふうに振る舞い、どういうふうに主張し反論するか、それがそうだと思えるように見えてこないからもどかしいのである。

補足2: 中国が世界記憶遺産に従軍慰安婦史料などを申請
2014.06.11
昨日中国の外務省が発表したようだが、旧日本軍による南京事件と従軍慰安婦に関する史料について、世界記憶遺産への登録を申請したようである。習近平主席訪韓を前にして歴史問題で韓国と共闘し対立する日本の安倍政権をけん制しようとしての行動との見方もある。こういう政治化している内容を含む場合はプロパガンダに陥らないように、審査過程で何らかの政治利用排除の仕組みが働くようにでもしないと、遺産登録がその趣旨を外れ政治的手段に成り下がってしまう。これもその兆候のような気がするわけである。

補足3: 南京大虐殺が中国の世界記憶遺産登録
2015.10.10
従軍慰安婦はされなかったが、南京大虐殺が世界記憶遺産に登録されたようである。中国の歴史捏造は中国の戦略の一環なのだが、「China2049」という本によれば日本だけでなくアメリカに関してもやっているということである。アメリカほど警戒されていない日本にはあからさまに歴史戦で攻勢をかけて来ているようである。

補足4: 国連見解へ異論申し立てか_国連官僚肥大化防止の方が重要
2016.04.28
国連の人種差別撤廃委員会が2014年9月に沖縄の住民を「先住民族」と承認するよう日本政府に検討を求めた見解に対し、先日27日の衆院内閣委員会で「事実上の撤回、修正をするよう働きかけたい」と政府が表明したようである。私は、国連の委員会が国連という名において各国の内情に介入し要らぬ国内対立を煽るようなことをするのが気になっている。国連官僚がその存在意義を訴えるために、自らのために無いところに煙を立てるに似た内政干渉的活動をしているのではないかと疑っている。国連改革が必要な気がしている。


(関連記事)
屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
  No.60 縄文杉登山のあり方についてのアンケート(2011.07.25)
     ----> 補足1: 観光と環境両立に腐心だって(2011.08.01)
  No.118 竹島・尖閣に思う米中露韓と日本の戦略 (2012.08.19)

                ----> 本文 や 補足2
  No.283  世界遺産_韓国が明治産業革命遺産登録反対  (2015.05.24)

. 
 
 
back
「My logbook : 屋久島方丈記」は、「 My logbook : 屋久島生活の断片」の
日誌編 と 偏見ご免のたわごと編 の 継続版です。
My logbook : 屋久島生活の断片」の ご案内
日誌編 と 偏見ご免のたわごと編 (2010.05.31までの記事)
屋久島釣り場案内
妻関連の「SpinCom」と「SpinCom Gallery」