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1月30日の日経新聞に「トランプ氏の正しい疑問」というラナ・フォルーハー氏のコラムが掲載されていたのが目に付いた。トランプ大統領は問題意識は正しいが、それに誤った答えを出すとあって、ベネズエラの当時の大統領排除し石油利権を抑えることが麻薬カルテル撲滅の道なのか、イランの体制転換は武力攻撃するとの脅しで解決するのか、ロシアや中国の北極圏安全保障への脅威はグリーンランド領有で解決するのかと近々の事例を挙げてその手法に疑問を呈している。
トランプ氏は従来の政治や経済、外交政策などあらゆる前提を問い直す姿勢を示しのが大統領になれた一因である。具体的にはリベラルな能力主義、途上国への資本・金融の自由化を強いる市場原理に基づく経済改革手法、自由貿易は無条件に善だという考え方まであらゆるものをトランプ氏が疑問視しているのだが、アメリカの中道派は従来の体制や秩序が抱える諸問題を認識せず対処もして来なかったので、それに失望していた国民がその姿勢を歓迎したのが大きいと筆者は述べている。
そしてトランプ氏の現状維持に対する疑問に発したアメリカの対外政策の変化とその手法に振り回されることになった世界の指導者はなんとしても新たな秩序を築かなければならないという切迫した必要性に目を向けさせられることになった。先日のダボス会議では、カナダの首相が旧来秩序の問題として非対象に執行される貿易ルールや被告や被害者が誰かによって国際法の適用がぶれる問題などを指摘した。そしてまた世界各国の負担の在り方を見直したり中国のような新たな大国の位置づけをしないままで、アメリカが世界の警察官であり続け、安定した金融システムを守り、世界中の紛争を解決するという現実と乖離した認識を変えていく必要性について論じていた。トランプ氏の影響が働いて来たと筆者は見ているようである。
トランプ氏は旧来秩序のどこに亀裂や断層があるのかを見抜き疑問を呈し自分に有利にその答えを導くに長けている。そしてその従来秩序への疑問が正しかったからアメリカであれ世界であれその疑問に答えを出して行くことが求められていることが明らかになったわけである。ただトランプ氏の答えを実現する手法は誤っている。そしてその破壊性にアメリカや世界が振り回されている。これからアメリカではよりよい移民政策を設計すべく強力な方針を出す必要があるし富裕層優遇の新自由主義と規制緩和などを通じた企業の政治への影響力のあり方にメスを入れる必要がある。また世界では中国の影響や技術進歩による雇用破壊問題への対応がそしてまた中国との貿易問題への対処などが求められると今後の課題を筆者は提示している。
以上、私はコラムをこういうことかと読んだのだが、当面アメリカではトランプ氏で今後の課題に正しい答えを出せるのか気になるし、世界ではトランプ氏の姿勢・手法に対抗しながら今後の課題の答えを出して行かなければならないのが気になるわけである。そしてまた今後トランプ氏が退いた後も含めトランプ氏の姿勢・手法の影響から抜け出しよりよい秩序がもたらされるまでにどれくらいの時間を要するのか気になるわけである。
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