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私が4月初めころに見たあるブログに「年金は100%割に合わないを証明する」というのがあった。「若い頃に支払った100万円が、老後に100万円として返ってくるため損をしない」という論法に対する反論のような意見である。その内容は掛けた金額分を年金でもらう場合貨幣価値の変動で目減りするが掛けた額を自分で投資したら最終的には掛け金額よりお金を増やせるからということである。
そこで例に挙げているのが、インフレ率を年2%としたら今の100万円は40年後、たったの45.3万円の価値にしかならないが、投資で年利5%の平均リターンが続くとするなら現在の100万円は40年後は約704万円で7倍にもなるからだということである。
こういう言い方に私は違和感を持ったわけである。年金の掛け金は毎月の少額掛け金を40年間にわたって積み立てるに似ているから、ちょっと乱暴な証明手法だからである。まあそれだからエクスキューズとして「もちろん、年金が不要と感じる人も増えている一方で、計画的に老後資産を形成できない人々にとっては依然として重要な制度ではあるだろう。問題はその要否を感じる人のバランスが大きく崩れて来たことにある。」と逃げも打っている。
私の思う感じでは、そのエクスキューズのとおり条件やひとの事情によるのに加え、掛け金を累積して行くので一時に大金を持っているわけではないし、初めに持っていてもそれを持ち続けるわけでもない。毎月の掛け金を長期にわたって積み立て運用していてそのあとまた長年年金受給するわけだが、そういうことについての論及がないのだから気になってしまったわけである。
MS銀行の研究機関の試算によれば、あるモデルでの試算ではインフレなどを考慮に入れ国民年金なら40年間の掛け金総額約1300万円で25年間の年金受給額2300万円、厚生年金なら掛け金総額2200万円(多分企業負担分含まず)で年金受給額5200万円ということである。国民年金なら受給額は掛け金の1.77倍に、厚生年金なら2.36倍に相当する。これで一応掛け金より受給額は大きくなるのは分かるが、この試算ではいまを基準にして掛け金なら40年あるいは受給額なら25年経ったらどうなるかを示しているようである。
以下は遊び半分のはなしではあるが、私が試算するなら、国民年金ならいまから40年後に掛け金が総額約1300万円(A)でそのときの年金受給額は増えていくら(B)になっているか。そしてその後は毎年変動する(A)を毎年変動する(B)で切り崩しながら25年の間に損得がどうなるのか計算してみる。投資するとした場合は掛け金の増加率を例えば年5%だとして40年分を累積した総額を(A)として、その後は毎年変動する(A)を毎年変動する(B)で切り崩しながら投資の損得がその後の25年でどうなるか計算してみる。
そして私のラフな試算では、投資しても年金に掛けていても25年までの間に赤字になる。年金の場合は赤字になっても年金はもらえるが、投資の場合はその後は他の資産を切り崩して行くことになる。赤字になるほど長く生きたら年金は得なわけである。ただし私の試算は年金掛け金相当額を40年投資する、その後25年貯まった額から年金支給額を切り崩すという前提でのはなしである。
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No.327 年金だけで生活できる_そういうひとも居るらしいが (2024.09.05)
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