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  偏見ご免のたわごと編:  No.330
~してあげる_男が女に言うとき  2024.09.16
  妻が最近読んだ本に、よく「~してあげる」と言うひとについての話題があったそうである。そう言っていたひとが普通に敬意をこめて言っているのかも知れないが、著者が聞いていての感想としては、無意識か意識的にか知らないが自分が優位にあると思って言っているようで違和感があったということらしい。

そこでネットで本来どういう意味なのか解説している記事がないか探してみたら、どこかの大学の先生の記事があって「~してあげる」の「あげる」には本来「上から目線」や「人を見下す」の意味はないということである。「~してやる」なら上から目線に受け取られても仕方ないが、「~してあげる」は敬意をこめた言い方だそうである。

ならばなぜ見下す意味に使われるようにもなったかと言えば、初めは多くの人がやさしい・丁寧なイメージをもつ言葉として使い始めたのだが、そのうち人以外の生き物に対しても使い始め、そして力の弱いものに対して使うイメージが出て来て、それから見下すイメージが出て来たということらしい。そもそもの意味を使う対象を広げていく過程でひとが勝手にその言葉の見下すイメージを創り上げて来てそれが本来の意味と勘違いされるくらいにまでなっているようである。

そして「〜してあげる」と言っている人のなかには相手から望む感謝や見返りがないと「〜してあげているのに」と思うひとも出て来るし、された側の人には勝手に感謝や見返りを強いられたと感じる人も出て来る。そういうひとは互いに勝手に不機嫌・不愉快に感じることになったりするわけである。

私はむかし知り合いの女性から男性に「〜してあげる」と言われたと憤慨して、そう言った男性を非難していたのを聞いたことがある。上目線で傲慢だということらしいのだが、男性としては女性に自分の存在感をアピールしたいという欲求からそう言ったのではないかという気がする。男女の仲になりそうな状況の中で自分が優位に立ちたいと相手に対して上から目線で「〜してあげる」と言うことはまずないだろうと思うからである。そしてそうなら喜ぶべきことだったかも知れないわけである。

あるいはまた、その言葉に見下すイメージが定着していて互いにそういうイメージを持っているならば、男性はわざとその気がないことを女性に伝えるためにそう言ったのではないかという気がしている。それなら男性が悪者になって、女性にその気はないから勘違いしないでねと伝えるために言ったということになる。それはその男性の優しさかも知れない。そしてその男性の思いは果たされたわけである。


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