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9月下旬に臨時国会開かれる予定らしい。そして野党などが残業代ゼロ法案とレッテルを張っている高度プロフェッショナル制度のための労働基準法改正案を政府が国会に提出すると見込まれているようである。この制度は年収の高い専門職を対象に労働時間ではなく成果に基づいて賃金を払うことにしようというものである。その法案国会提出を見込んでいた連合執行部は政府と協議し残業時間の上限規制を条件に合意・容認に転じたとき、残業代ゼロ法案と言って反対してきた傘下の組合の猛反発に会い合意を撤回した。
従来連合は正社員の既得権を守るための団体だったが非正規の数が労働者の三割を超えるようになって正社員だけを守るべき労働者だという論理は通用しなくなってきている。そんな環境の中で従来の正社員型労働慣行にしがみついてはそもそも労働者が働く場所である企業の経営が成り立たなくなる恐れもある。そうすれば組合員の生活も破綻する。執行部はその現実に対応し連合を変化させるしかないのでは考えたものと思われる。しかしそれを理解しない傘下の組合から猛反発をくらってしまったようである。
私は裁量労働の専門職には成果報酬(すなわち残業代はでない)で報いる方がよいと思っている。人材飼い殺しや人材争奪戦敗退では企業が衰退する。例えば高度な専門的能力労働者が企業の命運を決めるような成果を出しても、簡単に誰でも代替できそうな仕事内容の労働者と同じように終身雇用を理由に年功序列体制に縛られ成果に見合った報酬を得られないとなれば、その専門職はそれなりの待遇をしてくれる企業に移るあるいは最初からそういう企業に入らないことになると思われるからである。私の解釈では高度プロフェッショナル制度とはすでに採用している企業もあると思われる高度専門職を管理職や役員待遇にするに似た制度で実質組合員ではない待遇にするものである。だから組合が猛反発するのは昇進に反対しているみたいなところもある感じがしている。
それより私が高度プロフェッショナル制度と聞いて気になるのは、高度な専門性とはどういうものか、そしてその成果はどう評価されるのかという方に関心がある。例えば全く解のない課題などを与えられても困るわけで、適正な期待成果と達成時期が妥当であるかどうかが問題である。一つ一つの課題について与える側と受ける側でそれを合意することが条件でないと猛反発する組合の言うように運用は形骸化する恐れがある。労使双方そういう運用の問題点を挙げて解決法を論議する必要がある。そして連合が政府と合意し傘下組合の猛反対で撤回した内容もそういう問題の一つだったのではと思われるのである。
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屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと:
No.233 労働時間規制緩和あるいは裁量労働制_残業代ゼロ (2014.07.07)
No.450 生産性革命_働かせ方改革 (2018.03.05)
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