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12月2日沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先とされている名護市辺野古沖の埋め立て承認の取り消しを巡り、国が撤回に向けて代執行を求めた裁判の第一回の口頭弁論が行われ、その後の翁長知事は会見で「私が終わった後、裁判官の方から大変分かりやすい話でしたという話もあったので、思いは伝えられたかなと思っている。」と言っているのをTVニュースで見た。
翁長知事は裁判官が良い心証を持ったのではないかという意味で発言したように見えたが、私の感覚では多分裁判官は訴えていることがどういうことであるかはよく分かったという意味で言ったように思える。知事の陳述内容が裁判しようとしているのは取り消し理由が正当かどうかということだから、仲井真知事の承認に瑕疵があるという翁長知事の判断が国側がなんといっても揺るがない理由を陳述しなければならない。それなのに聞こえてくるところではどうもそうではなく自分の思いを述べたようである。裁判官は訴えるその思いはよく分かると言ったのではないかと思われる。そういう感じで終始すると翁長知事は裁判に負けることになると思われる。
その日のBSフジのプライムニュースで元米国務省日本部長ケビン・メア氏、佐藤正久参議院議員、福島みずほ社民党副党首がゲストで辺野古移設問題が取り上げられていたが、そこでの翁長知事支持で移設反対派らしき福島氏は移設はキャンプ・シュワブの拡張工事でなく新基地建設だとか、移設しないで普天間を閉鎖しろとか、自分の思いだけでなら誰でもいうようなことばかり言って、辺野古地区の住民、70%が移設賛成、建設業者の経営者の90%は移設建設賛成、移設により現状より5%程度沖縄基地使用面積縮小の現実やあるいは沖縄が受けている中国の脅威などについてははなしをずらすなどして知事や市長、国会議員の選挙結果だけをもって移設反対は民意民意の一点張りだった。
私はよく言われる民意とはどういうものなのか気になって、ネットで関連記事を見てみた。私が見た記事の中では、齋藤 純一・早稲田大学政治経済学術院教授の解説が分かりやすかった。自分なりに納得する部分だけで私は理解した気になったことである。
・選挙において示される民意は必ずしも重要な政策争点に関する民意とは一致しない。
・民意は、長い時間をかけて市民によって妥当なものとみなされ、受け容れられてきた判断ないし確信を指している。
・それは、選挙や世論調査によって集計されるその時々の「意志」というよりもむしろ市民の間に定着した「公共の意見」である。
・公共の意見は、意見交換の過程を通じて形成されるものであり、その過程は、ある主張が妥当かどうかの理由の検討をともなっている。
・社会における少数派が不当とみなす法の改廃や政策の転換を求めるとすれば、このような市民による意見形成に訴えるほかはない。つまり「数」の力ではなく「理由」がもつ力に訴えるほかない。
・その時々の市民の「意志」を民意であるととらえるのではなく、主張「理由」の検討を通じて形成される過程を重視していく必要がある。
ということで、翁長知事や福島氏が言う民意は翁長知事や福島氏の思いから出た表現としての民意のような私の印象は間違っていないようである。そうであるならば、翁長知事の思いの陳述や福島氏の思いによる反対は意志の表明ではあるが理由を論じることから外れているから、翁長知事は裁判では勝てないだろうし、福島氏がTV討論で勝ち目がなかったのもそういうことかと私は納得がいったのである。
補足1: 辺野古関連質問_屋久島町議会
2015.12.14
昨日配布された12月付No.32号議会だよりによれば9月9~10日の町議会の一般質問で、沖縄県民の必死の気持ちを考えたら屋久島から辺野古埋め立てに岩ズリが持ち出されることは許されないのではという質問があって、町長はそういうことはまずないと思う、そういうことはされてはいけないと思うと答弁したようである。質問者は平和ボケか反対勢力の同調者かと思われるが現実を理解していないように思われるし、町長もそれに迎合しているようである。
補足2: 中国の言い分_領土野心や海洋進出
2015.12.15
12月11日のBSフジ・プライムニュース「日中韓3記者が熱論!法の支配と歴史と領土」(ゲスト:古森義久・産経新聞ワシントン特別特派員、韓暁清・「人民日報日本語版」日中新聞社長、洪熒・統一日報論説主幹)で韓暁清女史が言っていたことについて、私は次のようなことを言っていたと受け取った。中国は国力を高めたのでいまやりたいことが出来るようになってやり始めた。やれればやるのは当然のことである。日本も国の中で国力を削ぐような争いをせず、賢くなって国力を高め対抗出来る国になればよいのだ。日本海・尖閣や小笠原で自衛艦を常時パトロールも出来ないのが日本だ。というようなことである。中国の意志を代弁しているのだろうが、日本に対する警告なのか挑発なのか少し危うげな発言だった印象である。
補足3: 辺野古訴訟・国と県が和解案受け入れ
2016.03.04
和解の内容は、以下のようらしい。
①国交相は代執行訴訟を取り下げ、沖縄防衛局長は(関連の)審査請求を取り上げる。沖縄防衛局長は埋め立て工事を直ちに停止する。沖縄県知事は(関連の)訴訟を取り下げる。
②国と県は、円満解決に向けた協議を行う。
③仮に訴訟となった場合は、判決後、国と県は相互に判決に沿った手続きを実施することを確約する。
私が思うに仮に訴訟となった場合は、「下町ロケットのエンジン特許訴訟で和解勧告した裁判官が和解を蹴れば佃製作所が勝つ判決になると言って和解を勧める」がそれと似たことになる。国が佃製作所ではないかと思っている。埋め立て取り消し理由として挙げらている「瑕疵」の内容にどれだけ説得性があるかが問題になると思うからである。説得性がないから、裁判所は翁長知事の思いにも気遣いはしていることを示したのが和解勧告案ではないかという気がしている。
補足4: 承認取り消しは違法と判断_普天間移設を巡る訴訟
2016.09.16
和解交渉が決裂し、国が翁長雄志知事が前知事の埋め立て承認を取り消したことの是非をめぐる裁判となっていたが、本日福岡高裁那覇支部での判決が出て、前知事の承認処分に瑕疵(かし)はなく、承認取り消しは違法と判断、さらに承認取り消しの是正指示に知事が従わないことも違法と結論付けられた。私は本文で翁長知事は裁判では勝てないだろうと予想していたが、思いを述べるのではなく瑕疵の立証をしなければならないのだが、それが出来なかったものと思われる。
補足5: 最高裁で国が勝訴
2016.12.20
翁長雄志知事が前知事の埋め立て承認を取り消したことの是非をめぐる裁判の最高裁判決が出て、国が勝訴した。私は本文で翁長知事は裁判では勝てないだろうと予想していたが、やはり瑕疵の立証をせず思いを述べるだけの印象がある翁長知事の言い分は法的には通用しなかったようである。
(関連記事)
屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編:
No.342 時効のこと [2010(H22).05.31]
屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
No.314 自分の思いが先に立つ_失敗や付け火にご注意 (2015.11.23)
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