My logbook : 屋久島方丈記 
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  たわごと編: No.194  
  2013.11.11 離島の一利用者として徳洲会を眺める  
 
  医療法人徳洲会グループの公職選挙法違反事件が報道されている。選挙違反は法律違反だからよくないことは当然であるが、その摘発や処分について政治的な意図が働いているあるいは働いてくるのかどうか、あるいは徳洲会の社会的評価が揺らぐのかどうかについては、私はあまり興味はない。徳洲会がその事業理念を追求するに際し障害となることが多くあってその解決に政治的影響力が必要だったが、政治を目指すその活動が悪い方向に行ってしまったということだろう。私としては政治活動をしてでも実現しようとしてきた徳洲会の理念とその実現状況の方に関心がある。

私は病院に置いてあったマンガでしか知らないが、徳洲会のモットーについては普通の人なら誰でも評価するはずのものだと思っている。離島で医療体制が不十分で命を失う理不尽さを身を持って知り、離島の医療体制を改善したいという初心の現れと思って感激したものである。

徳洲会のあるいは一般の病院もそうだと思われるが、理念は「生命を安心して預けられる病院」「健康と生活を守る病院」だが、徳洲会の特徴(その理念の実行方法)として、「年中無休24時間オープン」 「健康保険の3割負担も困っている人には猶予する」「入院保証金・総室(大部屋)の室料差額等一切無料」 「医療技術・診療態度の向上に絶えず努力する」 「患者からの贈り物は一切受け取らない」 「生活資金の立替・供与をする」が挙げられている。病院で見たポスターでは、「生命だけは平等だ」「生命を安心して預けられる病院」「健康と生活を守る病院」「ミカン1個も貰わない(「お礼」として金品の授受を受け付けない)」などのモットーが掲げられていた記憶がある。

私は真実がどこにあるかは知らないが、徳田氏が政治を志したのはその理念を実行するにあたって、いろいろな障害に出会ってそれを乗り越えるために政治・行政に影響力を持たなければということにあったのではないかと思っている。ヤマト運輸が宅急便事業を展開するにあたって既存の規制や行政の障害を乗り越える必要があったが、医療関係については既存勢力の影響力も絶大で運輸関係以上の乗り越えるべき障害があったのではないかということである。

どの程度かは知らないが、いま徳洲会が日本最大の医療グループであるのはその政治活動の成果であるのかも知れない。そして徳洲会が日本最大になったあかつきにグループトップの身内がそれも一人が政治家になることに執着する必要はなくなってきたと思われるが、その国会議席確保にこだわり過ぎた感がある。身内であっても創始者の理念を体得しているかは疑問である。私は、理念を継承する経営陣が理念に共鳴する政治家たちを応援する方向に方針変換た方が良かったのではないかという気がしている。

徳洲会の理念やモットーは普遍性がある。私はそれを評価している。そして今後も徳洲会とそのそれぞれの病院が患者のためを第一義にして医療活動を展開していくことを忘れなければ、その存在価値は変わらないはずである。離島で唯一の総合病院・徳洲会病院を利用する私にはその存在は心強いものである。離島に住む一人として大いに評価している。外部補助があるのかどうか知らないが、公共交通機関が貧弱な離島で50kmくらい離れた場所まで無料定期送迎バスを運行する事実を見ても都会にはない診療機会逸失防止の対応がされている。また選挙に関係あったかなかったか知らないがもう関係無さそうな、医療講演会もなにか心配ごとがあればただで開催依頼できる。外から私の知るところはそのくらいだが、他にも理念実現の努力が目に見えないところでいろいろ行われていると信じている。

離島の医療体制を整備をするに際してはいろいろ制約があるかも知れないが、私が考えるに住民が総合病院を望んだのはだいたいのことは島内で完結することにあったと思われる。島外に行くとなれば治療費は変わらないとしても、本人の交通費、宿泊費、そしてときには家族などの交通費や宿泊費などを負担しなければならない。徳州会の理念実現の大きな部分を占めるのがその問題の解決にあると思われる。収入に占める医療関係費用の割合は離島では相当なものになる。しかし島内患者数と病院規模は見合ったものにならざるを得ない。その条件のなかで島内完結医療体制を可能な限り整備する工夫が求められている。そして現状を見れば当該病院医師の定期的出張診療などで診療科目を広げるなど努力されている感じがする。しかし患者と家族の負担が多くなりそうな手術などは一部を除き島外病院に頼らざるを得ないのが現実のようである。


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