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  たわごと編: No.164  
  2013.05.03 憲法改正と護憲の主張者へのインタビューを見て  
 
  憲法記念日の前日、改正意見のひとと護憲意見のひと同席でそれぞれの発言を聞いて視聴者が比較できるTVワイドショー番組があった。憲法改正に関する見解を問うものだったが、護憲派のひとは改正すると自ら戦争をするようになるあるいは日米同盟で戦争に巻き込まれると言って軍事力に関する規定を変えられることになるのが一番の問題のように言っていた。

自民党の草案と言われるものにある国防軍という規定について、国防軍を持ち集団安全保障体制を可能にすれば、アメリカが戦争に巻き込まれれば日本が加勢することになって戦争に巻き込まれる。国防は警察力的自衛隊でよいのだということである。自衛隊と日米安保については容認しての意見のようだった。

改憲派のひとは、長い間に世に合わなくなったところがあったら変えること出来るようにすることがまず大事であるという意見だった。どのようなかたちにするかについては私はまだ理解不足だが、なんらかの工夫は必要かと思っている。そういう論議に至らない今回の意見交換では、護憲派が96条と9条をセットにしての考えにこだわっていて、改正すれば好戦的国家になること必須というはなしばかりになってしまったので、改正派はまず96条を改正し世の中の変化に対応可能な憲法にしよう、そして他の条項はそれから議論を尽くそう、国防軍で即好戦的国家になると考えるのは無茶な論議であると防戦するかたちになってしまった。日米安全保障体制は双務的であり、日本が戦争に巻き込まれればアメリカが助けてくれるということは、アメリカが巻き込まれれば日本が助けるのは当然のことであるが、国防力を持つということは戦争をしたいからではなく、その力によって戦争を抑止するのが最大の目的であるという改正派のひとの意見には、護憲派から明確な意見表明はなかった。

私はそれらを聞いていて、少々護憲派の意見に矛盾を感じた。護憲派の言い分を聞けば、アメリカが戦争に巻き込まれても日本は巻き込まれないようにしろ。日本が戦争に巻き込まれたらアメリカに助けてもらわなくて良いと言っているように聞こえるわけである。もしそうであれば日本が戦争を仕掛けられた場合自力で対応しなければならない。そのためには軍事的自立を果たしていることが前提となるから国防力強化が必要になるはずである。護憲派の意見の延長には、どの国とも同盟しないならば日本に戦争を仕掛ける国の軍隊に対抗するには戦力をいまの想定よりさらに増強した実質国防軍が必要になって来るということがあるわけである。国防軍を持てば戦争を始めるあるいは戦争に巻き込まれると言いながら実質国防軍が必要な国家体制を前提にしている矛盾に陥っているわけである。

護憲派の安全保障論議には最悪事態にどう対処するかの方策提示がない。日本が自ら戦争をし始めるという心配をしているが、日本が戦争を仕掛けられるということは心配をしていない印象がある。皮肉を言えば日本が攻められて降参したときに、護憲派が日本の交戦力弱体化の功績により戦争を仕掛けてきた国に優遇されることを期待した保険をかけているようにみえるのである。

外交が大事だと反論をするだろうが、それが破綻したときのことを考えないのは脳天気である。多分いま日本はどこかの国に戦争を仕掛けられたら独自で戦争に対処するのは難しい。となれば日本が独自で対処できるくらい軍事的に自立した国家になるまでは、どこかと同盟関係を結ぶ必要があるわけである。それなら切り抜けられる可能性はある。軍事的自立を目指す軍事力の増強はダメ、集団安全保障体制はダメと言って抑止力を持たなければ、どうぞ攻めてくださいと言っているようなものである。最悪日本が何も取るべきものがない国だと思われる様になるまで攻め続けられることになる。


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