屋久島生活の断片・日誌編
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No.166  ヤツガシラのこと H17.04.04)

3月19日が初めてだったが、その後何日にも渡って我が家の庭に珍しい鳥が来た。来るときは一羽だが、時によって大きさが違うように見えるから二羽が時を違えて来ていたのかもしれない。一日に何回か来て毎回30分〜1時間以上のあいだ芝生の中を長いくちばしで突っついて歩き回る。突っつく動きはせわしないのだが、犬が家の中から吠えても、私が写真やビデオをとっても動じる気配がない。

(上):横、前、後ろ側から見たヤツガシラ
       頭部が薄っぺらい、
       閉じた冠羽は後ろに突き出ている

(左):興奮したり驚いたりしたときに
        冠羽を広げるらしい

屋久島に引っ越してきてこの鳥を見たのははじめてである。飛んでいってしまってから、なんという鳥かと手持ちの野鳥の本を見てみたが出ていない。そこでインターネットで検索してみたら、結構珍しい鳥でこの鳥を見たいとか見たという報告のホームページもいくつかあった。そこで私も一応見た時と場所を記録にとどめておく。

2005年3月19〜25日の大雨の日を除き一日に何回か、場所は屋久町平内、海からの距離約200m、海抜40m弱、家が5〜6軒ある開けた一帯の中の我が家、日当たりのよい芝生に毎回一羽来るのを観察。

さて、あとはインターネットで見たその鳥の情報である。ヤツガシラという名の鳥について私が理解したことである。

日本では、ブッポウソウ目ヤツガシラ科のヤツガシラと称する。ヤツガシラ科の鳥は世界にこれ一種しかいないということである。ヤツガシラの学名は Upupa epops。 英名はHoopoeということだが、世界にはHoopoeという名のつく鳥は他にGreen wood hoopoeとBlack−billed green wood hoopoeもいる。それらはヤツガシラ科と違う科だそうである。また冠羽を立てると紹介されている鳥にEurasian hoopoeとかAfrican hoopoeという名がついているが、頭の羽を立てヤツガシラに見えるHoopoeは世界に一種だけしかいないということなら、それらは同じ鳥の俗称ということになる。

ヤツガシラは長い冠羽を興奮すると扇状に広げる。雌雄同色で体は赤色がかった淡い黄褐色である。翼と尾に黒色と白色の模様がある。嘴は細長く下に湾曲している。足は黒い。鳴き声はボウボウ、ポポ、ポポポッで、学名はその鳴き声に因んで付けられたと言われている。

ヨーロッパ中部、南部からアフリカ、中近東、インド、東南アジア、中国に分布し、北部のものは南部に渡る。日本では主に春に見られ春の旅鳥とみられているが、数多くはないが各地に不定期に現れているそうである。1982年(昭和57年)〜1986年に長野県で7ヶ所、岩手県で2ヶ所の繁殖が記録された。全国で初めて1982年(昭和57年)長野県の臼田町で繁殖確認されたので、1985年(昭和60年)に長野県では天然記念物に指定したらしい。

ヤツガシラは、基本的には温暖で乾いた、ゆったりした起伏のある高地で、藪、疎林、芝生、裸地などが散在する場所に住む鳥で、日本で繁殖が記録された地域は、山間の比較的乾燥した高冷地で平坦で豊かな林や、果樹園、桑畑、畑地などに囲まれた人家のある集落という共通性があるそうである。

我が家のあたりもその環境が整っているように思えるから、今後も見る機会はありそうである。

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