屋久島生活の断片・日誌編
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 No.261  尻を振る鳥のこと  H21.02.23)

2月の中ごろになって我が家の庭にあまり見たことのない鳥が何日か続けてやってきた。朝明るくなりかけのときとか夕方暗くなりかけのときに見かける回数が多かったが、日中も来ることがある。ガラス戸を開けるとその音で逃げるのだが飛ばないで走って植え込みの下にもぐりこんで見えなくなる。

庭にいるときは芝生の面を突っついているから何か潜んでいる虫でも食っているようである。その間、少し歩いては止まり尻を上下にピョコピョコ振ることを繰り返しながら場所を移動する。鳥の模様は黒と黄褐色で斑か縞かというように見える。鳥の写真本で調べたところ多分トラツグミである。以前遠くの木の天辺にアオサギが飛んできてとまったのを見てナベズルみたいに見えたのでツルが来たと言う失敗をしたから、尻を振るところと模様から多分トラツグミではないかということで今回は断定しないことにするが、私としてはトラツグミだと思っている。

  多分トラツグミ

  芝生を突っついて虫でも探し
  ながら歩いては尻を振る
  動作を繰り返す

ということで、トラツグミだとしてのはなしである。トラツグミはスズメ目ツグミ科、大きさ30cm、東アジア、シベリア、ニューギニア、オーストラリアなどに分布するが、日本では九州以北に生息していて漂鳥または留鳥として夏は山で過ごし冬は平地にいるらしい。積雪のある地方や高地のものは冬は暖地に移動するので、例えば北海道では夏鳥ということになっているようである。 

低地の雑木林や公園の林から亜高山の広葉樹林などに生息していて、冬は落ち葉をひっくり返しながら土中の昆虫の幼虫、ミミズなどを食べるということである。我が家では雨のときに芝生の庭によくミミズを見かけるから、今回のトラツグミも芝生の下にいるミミズでも探していたのかもしれない。

私は今回トラツグミの鳴き声を聞くことは出来なかった。もしかしたら夜にでも鳴いていたのに気がつかなかったのかもしれない。鳴き声についてはネットで見たところで夜中にヒーィ、ヒーィ、チィーと細い声で鳴くとか、ヒーィ、ヒーィ、チィーと細い声で鳴くとか、ヒーーー、ホーーーーあるいはツーーーという悲しげな声だとか、ヒーーーッという不気味な声だと表現されている。

さて、その悲しげで不気味な細い鳴き声にまつわるはなしである。むかしからいると信じられてきた鵺(ぬえ)という正体不明の化け物のことである。鵺(ぬえ)という化け物は日本古来から語り継がれてきた伝説の生き物で平家物語にも登場するが、頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎の姿をしており、その鳴き声はトラツグミということである。その遠いむかし鵺 (ぬえ)と言えばトラツグミのことだったらしいのだが、鵺(トラツグミ)の声で鳴くと言われる得体の知れない化け物がいつの間にか鵺(ぬえ)と呼ばれるようになったということのようである。

また「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」という言葉には鵺(トラツグミ)の声が妖しげで恐ろしげな感じがあるがその言葉は、もともとは寂しげに鳴く鵺(トラツグミ)の声が聞こえる夜は化け物・鵺 (ぬえ)のことを思い出し恐ろしい気持ちがするという意味合いで使われたものらしく、鵺(トラツグミ)の鳴き声が恐ろしい感じがするものという意味ではないようである。


 
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