屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.128 レコードのこと(3) H15.09.22)

私はヴァイオリン曲が好きだったので妻が最初の子(娘)を妊娠したとき、胎教のつもりで「ベートーベンのロマンス」(オイストラフがヴァイオリンのグラモフォンの黄色いラベルのEPレコードで1番と2番が入っている)をしょっちゅうかけていた。2番目の子(息子)のときもやはり同じようにかけていた。

娘が幼稚園の頃、その効果があってかヴァイオリンをやりたいというようになった。はじめはヴァイオリンをやっている近所の奥さんに習っていたが、しばらくしてヴァイオリン教室に通うようになった。それから高校を卒業するころまで通っていた。息子も姉がやるのをみて小学校へ入る頃から中学卒業の頃までヴァイオリン教室に通っていた。二人ともヴァイオリンの上手ということにはならなかったが、音楽を楽しむ気持ちは養えたものと思われる。

教室の付き添いや合宿についていったりしていた妻から聞いたはなしだが、ある年の春休みに有名な避暑地のどこかの会社の保養所を借りて何泊かの合宿があったときのことである。小学生から高校生までいろんな年齢の子どもが何人も集まるから、練習のない時間は走り回ったり大声を出したりしてうるさい。管理人は苦虫を噛み潰したような顔をして嫌がって早く終わって帰ってくれとばかりに文句をたれ続けていたそうである。

課題は「モーツァルトのヴァイオリン・コンチェルト」、第何番かの第何楽章かを合奏に編曲したものらしく、練習は各パートの割り振られたグループごとにやるのだが、練習の合間に子どもたちは遊んで騒ぎまわっていたらしい。練習でも管理人にはまとまりのない音が聞こえているだけでヴァイオリンはただのお遊び合宿の名目くらいに思われていたかもしれない。ずっと批判的な対応が続いたそうである。

最後の日はオーケストラに入っている先生方の友人なども加わって合同練習をした後に、付き添いや迎えの父兄と保養所の職員を集めて演奏会をする。管理人は今までの遊んで騒ぎまくっている姿を見ては、ダメな子どもがろくなことは出来まいと高をくくっていたらしいが、初めて全員がそろって演奏するのを聴いたら、想像以上のすばらしさに感激してしまったそうである。演奏会の後はもういやだと言っていた以前とは手のひらを返したように、また来てくれまた来てくれということになったそうである。

一人上手だけが演奏したのでは、こういう効果はなかったかもしれない。ヴァイオリンをやっていれば誰が上手かは分かる。そういう子はすばらしい。しかし上手ばかりでないみんなが合奏しても、かもし出される音楽の世界がある。妻から話を聞いて、私は子どもにヴァイオリンをやらせてよかったなと思ったのである。

さて、子どもの課題曲にもなった「モーツァルトのヴァイオリン・コンチェルト」のレコードのことである。子どもが練習の参考に聴くのに第5番と第3番の入っている「スークとプラハ室内管弦楽団」のCDが最初に買ったものである。ついで第4番、第2番、第1番の入った「グリュミオーでコリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団」のCDを買った。多分これも子どもの課題の参考もかねていたかもしれない。これが気に入ってそのあと第5番と第3番の入っている同組み合わせのCDも買った。私はヴァイオリン協奏曲が好きだがこの3枚のCDもよく聴くものである。

No.126 レコードのこと(1) (H15.08.25)
No.127 レコードのこと(2) (H15.09.08)


 
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