屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.02  屋久島(2):集落のこと(1) (H12.05.05)

町の中の地名区域が集落である。その集落の任意団体として区というものがある。通常地名をかぶせて○○区と称されている。住民は区民と呼ばれている。都市部における町内会のような住民を会員とする住民の福祉増進と親睦融和を図ることを目的としている団体である。

区は地方自治体ではないが町や公共機関の事務・業務を一部有償受託している。また電気事業という収益事業を営んでいる。区の収入は事務・業務受託費、区計画事業への地方自治体からの補助金、寄付金および区民からの徴収区費からなる。

区の支出は区運営事務経費、区行事実行経費、受託事務・業務経費、事業執行経費、および役員報酬からなる。

区運営事務費、区行事実行経費は完全持ち出し、受託事務・業務経費、補助事業執行経費は受託費や当該補助金収入の範囲内でまかなわれる。区独自経営の事業執行経費はその収入に対し微々たるものである。即ち区は電気事業で相当の利益をあげている。そしてその利益の大部分を外灯電気料など区共用電気料および職員手当てという名目で支払われている主要役員の報酬に引き当てている。

区費は私のところでは1戸あたり月千数百円である。都市部の町内会のニ三百円と比較するとかなりの割高である。区費収入は年間250万円くらいになる。一方役員報酬は年間350万円くらいである。田舎の町内会は都市部と較べ活動内容が広範に渡り整理されておらず単純ボランティアとはいかないようである。主要役員が役場や農協の出先的な行政・営業活動に拘束されると多額の報酬をもらわないと割が合わないのかもしれない。

区は任意親睦団体であるとの設立目的に照らし活動を見なおし区費のミニマム化を図るべしとの意見も聞く。都市部から来ればそう思うのは必然と思う。私は時間の経過とともに田舎の歴史・慣習の中から生まれてきたやりかたであることを受け入れるようになったがなるべく負担は軽減するように見なおして欲しいとは思っている。ある意味ではこれは田舎暮らしを選んだコストである。

電気事業は不思議な事業である。区民の福祉を増進すべき区がその区民から利益をあげる事業になっている。屋久島には九州電力が事業展開していない。電力会社でない民営会社の発電した電力の一部を役場や電気組合や農協が買って住民に売っている。私のところは農協がやっている。区は住民が農協から直接電力を購入できるにもかかわらず農協から電力を買いそれを半強制的に住民に農協販売価格より高く売っている。実務は検針と料金徴収である。電気事業の利益が前記のように区費でまかないきれないほどの役員報酬と外灯などの保守費や共用電気料および区の行事費や運営費に実質的に当てられているのである。

近々電気事業が九州電力に移管されるとの話がある。そうなると検針手数料および集金手数料が入らなくなり名目上電気事業会計から支払っている区共用電気料および役員報酬の一部の財源もなくなる。年間推定五六百万円の財政圧迫となる。区の活動内容の見なおしは必至である。

区は区民に奉仕作業を求めることがある。補助事業などでの人件費が確保されている作業は別にして資材費や専門作業者費引き当てのみの補助事業や区独自計画事業に際して労務提供しなければならない。お互い様の助け合いなのでその結果助かることも多い。これも田舎暮らしのコストの一種といえる。

No.185 屋久島(105):集落のこと(2) (H17.08.01)
No.289 町内会のこと  (H20.11.17)


 
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