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  偏見ご免のたわごと編:  No.007
空飛ぶクルマ_<車ではなくクルマ> 2020.05.08
  5月7日夜テレビである番組を見ていたら、大阪府と神奈川県の知事が出演していた。コロナウイルスで緊急事態宣言解除後の世の中が変わらなければというはなしの中で黒岩知事がいまの状況から考えるべき本質的課題の整理がつかないのか、ドローンが主役になるような変革が必要というような、平時の将来展望の一環みたいなことを言っていた。それを聞いて何を言っているかと思いながらも、私は昨年から今年にかけて空飛ぶクルマの記事をよく見かけていた当時書いた記事があるのを思い出していた。そしてそれを出してみようかという気になった。以下ただドローンという言葉から思い出した、その空飛ぶクルマに関する私の感想記事である。

(以下本文)
以前からときどきは見かけてはいたが、昨年から空飛ぶクルマという話題を頻繁に見かけるようになった印象である。JAL・住友商事・BELLがこの分野に参入とか、トヨタのジョビー・アビエーションとの提携とか、日本のスカイドライブの開発状況とか、空飛ぶクルマの話題が目についた。私は空飛ぶクルマがひとの移動手段として普及することには疑問を持っている。物流についてもかなり限定的利用になるような気がしている。それでも今後どう諸問題や懸念が解決されどう実現するかについては関心はある。

私は空飛ぶクルマと聞くとタケコプターのようにひとが好きなように空中移動する個人的利用のクルマだとむかし思っていた。そうででないと納得してクルマという名で呼ぶ気が起こらないくらいそう思っていた。しかし昨今私が実際に空飛ぶクルマとして話題になっているクルマのイメージを見聞きしたところでは、それはむかしからいろいろ出ては消えたものもあった新交通システムの一つのコンセプトのようである。

そして空を飛ぶがクルマなのだということは、ドアツードア的移動手段で移動経路に空中経路を含むということである。そして道路走行自動車の発展形としての固定翼飛行機になる道路走行可能自動車(駐車場および滑走路的発着場必要)とかヘリコプターの発展形(停留発着場必要)の垂直離陸できる電動ヘリあるいはドローンがいまのところ私の見聞きする範囲での具体的イメージである。

日本では、ヘリコプター発展型ということになるだろうが空飛ぶクルマ実用化の暁には、渋滞が起こりやすい都市部などの交通をスムーズに出来る、交通手段が限られる地域(離島や山あいの集落)の制約がなくなり移動や輸送の容易性・便利性を向上出来る、災害時の負傷者の搬送や救援物資を補給に利用するというような活用法が考えられているようである。

だが、将来いまある車に変わって空飛ぶクルマが一家に一台という感じで普及するかと言えば、私は否定的である。いまの車の何倍かのスペースが必要で何かに邪魔されず上空に飛び上がれる滞留場を確保するのは無理だと思われる。また移動先でもいまの車の駐車場の何倍かの広さの滞留場を用意するのも無理だと思うからである。屋上を軒並み滞留場とするとしても戸建て住宅では可能かもしれないがマンションの屋上は戸数分の滞留スペースにはならない。いまの住宅がすべて屋上滞留場を備えた形になるとも思えず、車に変わって空飛ぶクルマの個人所有が普及する気がしない。

多分運営会社などの営業で普及するしかない気がする。個人移動についてはよく言われている空飛ぶタクシーあたりが行きつくところかと思われる。それと物流などの運搬サービスに利用される気がする。それらは都市部でないと採算が取れないかも知れない。都市部以外では観光利用以外は公共事業として移動や輸送・運搬のサービスや災害支援や救急活動に限定的に利用されるのではないかという気がする。

それにしても墜ちないかは気になるところである。ヘリコプターはもとより航空機より事故率は相当低くなるとしても、台数は航空機に比べべらぼうに多くなるとすれば事故件数は相当目立つ数になる。ジェット機による100万フライト当りの事故率は0.23という2014年のデータがある。航空機並みの事故率として空飛ぶクルマ全国総数25万台(タクシー最大数を想定)で一日10フライト/台なら事故が一日0.575回(ひと月約17回)、航空機の1/10の事故率だとすればひと月に約1.7回の事故が日本で発生するかも知れない。ミニ飛行機事故みたいなものが月に1~2回報道される可能性があることになる。いまのタクシーの乗降回数並みの一日30フライト/台ならそれが3倍になるかも知れない。例えばビルの上空から墜ちるあるいは落ちて来る恐怖にどう対処できるか気になるところである。
(以上本文)

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