10月下旬のある日の朝方、家の壁に両端が白と黒になっているように見える虫がとまっているのを見つけた。白い方が頭で尻の方が黒くなっているように見えたが、近づいてみると両端に頭がある。交尾中なのか尻を合わせ頭が互いに反対方向を向いていて、白と黒の虫があたかも一匹の虫のように見えていたことが分かった。
ネットで調べてみたら、クワゴマダラヒトリ(桑胡麻斑灯蛾)という蛾で、白いのがメスで黒っぽいのがオスだそうである。翅にメス、オスともに黒い点があるということだが、オスの方は目立たない。日本では北海道,本州,四国,九州,対馬,屋久島に分布しており、成虫は9月に発生し、カンキツ園周辺のアカメガシワなどの葉に卵塊を産みつける。幼虫・毛虫は産卵された植物上で巣網を張って集団を作り越冬する。3月頃からカンキツ園に侵入し、新葉などを食害する。5月下旬になると土中で蛹化するということである。
幼虫・毛虫は体は地色が黒く青光りするコブと茶色のコブがあり、背中に白い線が走るり、毛は黒い毛と白い毛が混じるとあったが、それだと春先わが家を含めそこらじゅうで多く見かける毛虫である。ところが毛虫は大量に見かけるのだが、成虫・蛾は見かける機会がほとんどない。私は成虫・蛾を今回初めて見たのだが、その理由はこの蛾が夜行性であるからということのようである。日中は林縁などで休息していて、夕刻以降に活発に飛翔し交尾するということなので、私が見つけた朝方はまだ交尾中だったようである。
産卵が特定の樹種に限られていて、生まれた幼虫・毛虫は広葉樹などの葉を集団で網目状に食べ尽くすのが特徴のひとつだそうである。屋久島のあるひとのブログによれば、屋久島ではフクノキ(ウラジロエノキ)という木に産卵することが多いようで、私も葉が毛虫に食われて葉脈だけになった葉のついた枝の間に広くレースみたいな巣網がかけられている景色をそこいらじゅうで見かけている。ときどきフクノキの根元ちょっと上の樹皮を長さ50cmかそれ以上全周剥いでいるのを見かけることがあったが、これも屋久島のあるひとのブログを見たところでは、クワゴマダラヒトリに産卵され毛虫がはびこるのを嫌がって家の周辺などの木を枯らすためにそうしているということのようである。
補足:
レースみたいな巣網がかかったフクノキ
2018.12.14
昨日の散歩で見かけた木
(関連記事)
屋久島生活の断片・日誌編:
No.45 無人市のこと [2001(H13).03.26]
.