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消費税の軽減税率の適用対象が「食品全般」(酒類と外食を除く)に自民・公明与党協議で合意した。対象品目その他の問題で協議が難航して、その打開策として浮上した財務省案(マイナンバーで購入履歴を記録しネット上で還付金を申請するというもの)は自民・公明幹部も参加して作成し官邸とすりあわせも済んでそれを公明党も大筋で了承し還付方式ベースに決まりかけていたが、その内容が報道されると公明党支持母体・創価学会から還付方式に強い反発が出て公明党が態度を翻し酒類を除く飲食料品の税率を8%に据え置くよう求めたのではなしは逆戻りしてすったもんだの末、官邸意向で今回の合意に至ったようである。
私はこういう経緯を見ていて、軽減税率がよいとか低所得者への定額交付金がよいとか、あるいは軽減税率適用対象や軽減方式が妥当かどうかとかそういう経済性あるいは合理性のはなしはさておいて、気になったことがある。公明党が一旦還付方式ベースのはなしを受け入れたのに創価学会の反発を受けてころりと態度を変えたというところである。政党が支持母体の意向で一旦了承したことを翻すということは、公明党は創価学会の言いなりと見えるわけである。公明党は創価学会の政治部だという批判もある。そういうことならば国会の公明党は創価学会の国会支部みたいなもので、それなら公明党の翻意もそういうことかと納得がいくわけである。政教一致ではないと口では言いながら、実はそうだと行動で示してしまった感がある。そこが今回の軽減税率論議過程で分かった最も重要なことのような気がしたのである。
そこで政教一致あるいは政教分離ということについてネットで関連記事を探してみた。池上彰氏があるTV番組で政党と宗教は切り離さなくていいものかという政教分離に関する質問を受け公明党の政教分離に対する考え方を紹介したという記事の中で池上氏は、憲法上の原則・政教分離とは政治と宗教は別れていなければならないということだが、公明党の政教分離についての考えは、政党が宗教に口を出すことを禁じているけれども宗教団体が特定の政党を支持することは政教分離の原則に反しないということであると解説している。
もし公明党の言い分がこれだけだったならば、公明党は政治活動から手を引くと表明した創価学会の内部組織から政治活動を担う組織が創価学会の替わりに政治活動をする政党として組織的に独立したというのがいまの公明党が出来た経緯のようだから、政党・公明党が宗教・創価学会に口をだすことは出来ないのは当然として、宗教団体・創価学会が特定の政党・公明党を支持すること(すなわち口をだすこと)は問題ないと言っているようだし党の成り立ちを考えればそれは当然と言っているように見えるわけである。そして今回のような翻意から疑われる宗教団体が特定の政党を支配することについて、公明党は認めたり論じたりすることは避けているのかもしれないという印象は残るのである。
(関連記事)
屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
No.487 消費税_軽減税率対象の混乱や徴収煩雑化の回避は (2018.10.29)
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