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大阪都構想住民投票についての感想を書こうとしているのだが、その前に選挙権が18歳からだったら結果はどうだったかというはなしである。今後、選挙で18歳から投票出来るようになるようだが、いくら若者に選挙権を与えても自分のいまで手一杯で新たに選挙権を得た人数にいままでの若者の投票率をかけた人数くらいしか投票に行かないかも知れないが、大阪都構想住民投票は僅差だったので逆転があったかも知れない。多分そうなる可能性はあった。
さて、大阪都構想住民投票についてである。大阪都構想というのは、大阪市と大阪府の二重行政を改善しようということで発想されたということになっている。府は広域行政と国の出先機関という性格を帯びているが、市は市民の立場に立った行政機関なので扱う対象が細かく市民に直接的である。そして直接的な行政を行う人口規模には限界があると思われる。それが大阪市を適正規模の大阪都の特別行政区すなわちいまより小ぶりの市みたいにして大阪府を大阪都にしようとしたのだと思われる。
市を適正な大きさの行政単位に分割する目論見の大阪都構想が否決されたいま、二つの問題は残ったままである。大阪市と大阪府にまたがる広域的な行政課題について今後どうするのかという問題と、大阪市のかなり大きな人口規模での多様な地域的事情・市民の事情を汲み取った直接的行政をどのようにするのかという問題の解決が依然としてあるということである。大阪都構想の発想の出発点に戻ったわけである。
まず第一の問題についてである。私は大阪が発展するには、大阪市と大阪府の利害が一致しない性格の課題については、やはりFBIのように機能する大阪府広域行政連合体みたいなものが必要であると思っている。大阪都がその役目を担うことになるはずだったが、ダメだったので都構想反対派は何らかの代替案を提示する責任があると思われる。
次いで第二の問題についてである。若者の投票率が低いという問題が根底にあるのだが、それでも今回の住民投票では高齢者のほとんどの年代で賛成比率は高かったのに70歳以上の老人は反対比率が高くそしてその人口比率が高かいことから全体として反対多数になったそうである。先のない70歳以上の老人が現在の既得権が無くなるかもしれないとの不安で大阪の将来を担うひとたちの意見を潰してしまったということのようである。反対派の言葉に煽られて反対に回ったという見方があるが当たっていると思われる。
行政のほとんどは税金を使うことにより成り立っている。そして税金を払うために直接的間接的に働いているのは比較的若い年代である。老人年代が行政を通して受けるサービスはその税金で賄われているわけである。そして今回の住民投票の結果は税金を払わない側あるいは税金で恩恵を受ける側の人たちの意見で税金の使い道を決めるに似たものだったということを言っているひともいる。
若者の将来をいまが大事と生きる高齢者の意向で決められるのはよくない。私も投票結果が僅差だったことから不公平ではないかという印象が強い。反対派はその不公平感を解消する責任があると思われる。大阪市の大阪都特別行政区化に反対した大阪の自民党、公明党、民主党、共産党は、大規模人口の大阪市のままで多様な地域的事情・市民の事情を満たし市民の大多数を納得させる将来に向けての意思決定が出来る行政をどう実現するのかという課題に潰した都構想以外の構想で応えなければならなくなったわけである。
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No.251 老後破産と煽られて (2014.11.03)
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