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  たわごと編: No.256  
  2014.12.08 ホリエモンの涙_嬉し涙か悔悟の涙か  
 
  多分11月だったと思うが、たまたまTVをつけたら何やらトークでひとの隠れた側面をあぶり出すようなバラエティ番組をやっていた。ホリエモンが俎上に載っていたところだった。そこで私が気になったことがある。ホリエモンは母親が仕事を持っていて子どもに他の親のように濃密に接していなかったからか母親に疎まれているような気持ちを持っていたようである。そしてホリエモンが東大に合格したときおめでとうと言ってくれたひとに母親がまぐれですよと返したその言葉に母親の愛情が自分に向いていないのではと疑い、ずっとそう思っていたということである。番組で母親からの手紙が読まれいつもホリエモンを自慢する気持ちだったということを聞いて、ホリエモンは涙してそのとき言ってくれよと言った。

私はこのまぐれですよと言ったことに、母親の愛情を疑ってしまったホリエモンという人間が気になったのである。普通そういう場面では、おめでとうと言ってくれたひとの子が不合格だったかもしれないあるいは東大に及ばない子の親かもしれないその他、面と向かって自分の子を誇ることがはばかられることはあるわけである。相手がホリエモンの同級生の親の場合はなおさらである。私は東大に合格するほどのホリエモンが当時そういう気持ちが理解できていなかったことにまずは驚いた。そして母親への鬱屈した気持ちをそのまま何十年も引きずって過ごして来たことにもまた驚いたわけである。

ホリエモンの仕事の評価はさて置くとして、その仕事をしてきた過程でもひとの気持ちを理解できないままに自分の思いだけでひとを見、言動をしてきたのではないか。自分の思いだけが正しいというわけではないという気持ちはなかったのだろうかと思ったのである。自分の気持ちでしか考えない。他人の側から自分を見たりしない人間ではないかという気がしたのである。番組の最後にはホリエモンが母親の手紙の内容を知って涙を流しそのとき言ってくれよと言ったのだが、母親が自分を誇る気持ちを持っていたことを知った嬉しさの涙ではあっても、その言葉には母親が外から自分たち親子を見て相手の気持ちを考えまぐれですよと言ったのだということを理解したようには感じられなかった。

東大に合格し一斉を風靡した事業を展開しその後挫折、苦労もし人生について考えたりして処世上当りは柔らかくなっているように見えるが、番組が始まった時点でそういう気持ちを理解していなかったようだし番組終盤でも理解できていない印象だった。大分以前、何かの番組で大金を儲けて鼻っ柱強く言動するホリエモンが職を地道に果たして来ている父親を軽く見るような発言をしていたのを見たことがある。挫折後の一応の苦労は周囲との折り合いを柔らかくつける振る舞いには向かわせたが、そのころとあまり人間は変わっていないのではないかと私は気になったのである。


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