15年近くも前になる。妻がある女の子に羊毛の染め・紡ぎ・織りを教えていたことがある。一週間に一度午前に来て作業し昼食、午後も作業しお茶の時間で終わる。私は昼食とお茶の時間は一緒に過ごすが、他の時間は部屋の隅で読書をしたり、他の部屋でPCをしたり、庭いじりをして過ごしていた。
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流水音発生器 |
その彼女はわが家に5~6時間いるので、必然的にトイレに行くことも発生するわけである。そのとき私たちには用を足している音は聞こえず終わってからの水を流す音が聞こえてくる。多分私たちが用を足す場合も彼女にはその音しか聞こえていなかったと思われる。だから彼女は何の抵抗もなくある時まで毎回用足しはしていた。
ある日のこと、私が大きい方の便意を模樣してトイレに行ったのだが、そのとき音を立てて放屁してしまった。妻のはなしではそのとき居室にその音が聞こえて彼女はアレっという顔をしたそうである。そして次の回からわが家で彼女が用足しをしなくなってしまった。しないことがあるのは不自然なことではないが、それが何回も続くのでそのうちなんとなくわが家で用を足すことを避けているのだと察することが出来たのである。
わが家のトイレのドアは枠が金属でその縁にゴム状のシールが付いていて気密性がある。その上トイレドアは洗面所スペースに通じており居室との間には洗面所のドアがあるので二重ドアになっているので遮音性もそれなりかと思われる。トイレと居室との間はトイレの部屋幅・半間幅の壁で仕切られている。その壁はトイレ側は数ミリ厚のベニヤにクロスを貼ってある。壁の内側には壁板を打ち付ける縦通材が何本かあり居室側は厚さ何ミリかで幅13cmの杉の横板の壁になっている。多分この壁の遮音性はあまりないので、そんなに大きな放屁音ではないのに居室に聞こえてしまったようである。
以後、私は若い女の子が音を気にしてトイレに行くのを我慢しなくてよい方法はないかと考えるようになった。当時秋葉原でなら何かあるかもしれないと上京した折に行って聞いてみたのだが、洗浄機能付き水洗便器でそういうのがあると言われ電子工作的な簡便製品は見つからなかった。そして彼女が卒業して何年も経ったその後、何かの拍子にどこかのカタログで用足し中の自分の発する音が気になる人にと言って流し音を発生させる小物装置が売られているのを私は見つけたのである。そこで即購入しわが家のトイレに取り付けたのだが、音を気にしてたでしょと問題をあからさまにするのも気が引けて彼女には装置を付けたと言っていないからか、たまに来るときがあるのだが彼女がトイレに行かない状況はいまだ続いている。
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