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国連総会に行くと恒例と思われていた首脳会談を安倍首相とオバマ大統領がしなかったことについて、特に大きな懸案がないから立ちばなし程度で済ませたようなはなしが報道で流れていたが、実際はアメリカ側が安倍政権の姿勢を嫌って日米会談を拒否したからだという見方がある。しかし双方に思惑の違いはあっても同盟国であるならば首脳会談はなにごとか懸案はなくとも互いに信頼を深める重要な意味があるはずだと思われる。
中国や韓国が首脳会談を拒否しているがその理由は大体知れている。また同盟国アメリカが首脳会談を拒否している理由についても政府は察しているに違いないが、表に出していない感じである。私はアメリカが中国や韓国と同様にがあからさまに日本を非難はしないが中国や韓国と同様の手法・首脳会談拒否をするその理由がどういうものなのか気になっている。同盟国なら互いに懸念を表明し合い相互理解をする必要があるのにと思うからである。
また安倍政権に批判的な見方として、オバマ政権のアメリカで日本とはそうすべき同盟国だという決心に戸惑いがでているのではないかという意見もあるようである。いまのオバマ政権のアメリカは中韓重視に変化して来ており、安倍政権になってからの日本がその動向に対応しきれていないことを嫌って首脳会談を拒否しているのではないかという見方である。仮にそうであったとしても同盟国なら日本の考えを質して判断すれば良いと思われる。そうもせず首脳会談拒否ということは、話し合っては道理が日本にあるからかも知れない。
ミステリードラマ Law and Order
を全編見たが、アメリカの裁判では取引がよく行われる。犯人が逮捕され被害者家族は厳罰を望むが、何らかの事情で取引がなされ犯人が釈放される。被害者家族は釈放され出てきた犯人を射殺して報復する。司法組織を信じられなくなったからである。そしてその被害者家族も犯罪者となるわけである。正義を信じていたものが誰かの正義の故に裏切られるのである。
また事情調べで訪れた家で何かの拍子に証拠を見つけても令状を取っていないから証拠収集の手続きに不備があると、本当の犯人と分かる本当の証拠であるにもかかわらず、証拠と認められず無罪になる。ごまかしと弁護士の詭弁で無罪となる。一方で検察が黒幕を罰したいと思えば、実際に殺人を犯した犯人の罪を軽減するのと引き換えに、不利な証言をさせたり偽証に近い証言をさせたりする。悪名高い人間を完璧な証拠がなくても悪人であると言い立てて陪審員が合理的疑いを持てば有罪になる。罰することが目的になっている例もある。それで刑務所に入った人間が悔しさのあまり仲間に報復させる。
そういうことにドラマでは疑問を呈している一面があるのかも知れないが、アメリカの最高権威は法であり、その法のもとでの秩序が現実どういうものであるかということがうかがい知れる。そしてそこに描かれているような価値観と手法がアメリカの政治やビジネスに根付いていることをうかがわせる。オバマ大統領は弁護士である。そういう価値観や手法に馴染んでいると思われる。そうであれば初め手なずけるために懐柔策をとるがその成果が出た暁にはしごを外すとか、いわゆる国益のためには本当のことに目をつむり都合よく状況をコントロールする策略は有り得るはなしである。世界を納得させてしまえばそれも正義である。
そして首脳会談拒否がアメリカの理念・法のもとの秩序から導かれた手法かどうかは知らないが、いまアメリカが日本を起訴したに似た法廷ドラマが始まっているのかも知れない気もするのである。日本の主張や実力で勝てる見込みがないうちは、うまい取引をするしかないわけである。これは相手がどこの国であれ国際政治では考えておかなければならないことである。日本もアメリカも政権は変わるが、政権が変わっても互いに取引材料を用意しながら相手の変化に対応していくしかない。政府・官僚あるいは政治家はそれを知らないわけはないのだから何らかの進展はあると思われるが、なにが取引成立の材料なのかいまは表に出せず首脳会談がない状況を続けているのかも知れない。
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屋久島方丈記・偏見ご免のたわごと編:
No.123 ミステリードラマから思う正義みたいなもの (2012.09.17)
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