|
|
散歩途中小学生が群がっていたので何ごとかと覗きこんだら、道端に動物の死骸が転がっていてハエがたかっている。私がそばに来たのを見て一人の小学生がただ「片付けてください」と言った。普通見知らぬひとに何かしてくださいと言うときはお願いするときである。私はその言葉に不快になった。
そのわけはというはなしだが、まず「ください」という言葉についてである。くださいという言葉は敬意を添えるためのものである。相手にこうして欲しいと依頼あるいはお願いをするわけである。しかしながら命令する場合にも用いられる。
お願いの場合と命令の場合とどう違うかといえば、お願いの場合は大体は言う方と言われる方の関係が責任の上下関係にない。例えば旅行者が通行人に「道を教えて下さい」とか、通知に近いTV放送での「津波が来るので逃げてください」のようなもの。陳情など要望・懇願の意味合いの強い場合はそうでもないこともある。一般にお願いするにはその理由を告げてすると思われる。そしてお願いについては大概は応じるか否かは言われた方が判断して決めるわけである。また状況が自明の場合あるいは慣用的な場合には理由を告げないことがあると思われる。例えば店屋でお客が「これ一つください」。
一方命令する場合は、言う方と言われる方の立場と関係が明白である。ナニナニをして下さいというのは命令あるいは指図・指示である。役割などで自明な場合を除き大体は内容や理由の説明があってからしてくださいとなる。会社などでは号令ならいざ知らず普通ナニナニしろとかやれとか乱暴な言葉で命令や指図・指示をするところは稀である。ナニナニしなさいというような言い方もあまりしない。ナニナニして下さいというのが一般的である。言われるひとに丁寧にくださいという言葉を使うのである。それを知らずときにくださいと言われたから頼まれただけだとやらなかったりする人間が出て来てあきれられることがある。会社などでなくても「入場料をお支払いください」というようなものもこの範疇にあると思われる。
ところで、冒頭の小学生が見ず知らずのひとにただナニナニしてくださいと言ったことである。理由もなく言うとお願いしているように聞こえない。くださいをつけているから丁寧に言っているつもりでも、慇懃無礼に他人に指図しているように聞こえるのである。私はそれを聞いて不快な感じがしたわけである。自分でやれば出来ないことはないが大変だからひとにやって欲しい。それなら言い方がある。見ず知らずの大人に指図するような言い方はないだろうと思うのである。
理由を省略出来る状況であっても応じるか否かは言われた方にあるのだから礼儀としてナニナニしてくださいませんかくらいの言い方はして欲しいわけである。また自分が嫌な汚い作業を通りがかりの見知らぬひとにやらせてしまおうという魂胆だと採られないよう配慮をもった言い方を考えて欲しいわけである。さらに言えば、ひとに言う前にそばの区事務所に通報するくらいの知恵を出して欲しいわけである。
補足:
私は片付けてくださいと言われ先生に言って区長か区事務所に通報したらと応答したのだが、通学路でこんなになるまで近くの大人たちや区事務所が知らなかったとは思えない。おかしいと思っている。
(関連記事)
屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編:
No.115 言葉遣いのこと [2003(H15).03.24]
. |
|
|
|