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私はレオ(犬)、この家に来て約10年になる。わが家の主人の還暦の年の8月に生まれ11月初めにこの家に来た。私は主人の還暦記念犬である。主人はあまり人に好かれないタイプである。そこで多分誰にも誘われることもなかろうし年配男の一人旅も胡散臭く見られるだけだろうからと、旅行への思いを封印するために私を飼うことにしたようである。私はその思いに無頓着にただ居るだけの犬だが、主人はそれで十分満足しているようである。
(写真・左:レオの最新写真-9月7日)
(写真・中:還暦の赤いちゃんちゃんこに見立てた雨衣姿)
(写真・右:散歩でチョコと小太郎に出会いじゃれられてそっぽを向く)
友のいなそうな主人に比べ私には数少ないが友はいる。散歩で出会う彼女はしきりにモーションをかけてくるのだが、お転婆なので出会うのは嬉しいのがパンチが苦手でさわらぬ距離でながめにおいを感じるだけで十分である。弟分のチビも活発でちょっかいを出してかまってもらいたげなのだが、私は見守るだけでこれも十分である。もうはしゃぐよりは落ち着いた付き合いに好みが移ってしまった。私としては彼女や彼のご主人方との静かな付き合いが散歩の楽しみの一つになっている。わが主人は私と似ていて奥方が彼女や彼のご主人方とおしゃべりするのを聞いている方が好きなようである。
私は犬年齢で10歳になったのだが、わが家にある換算表では人年齢にすると63歳である。犬年齢9歳で人年齢58歳だから多分今年の初めころに人年齢60歳の還暦相当だったと思われる。主人は今年で還暦から10年、私はその10年を共に過ごして還暦相当年齢となったわけである。私は車に乗るとき後ろ足が上がりきらず転げ落ちたりちょっとしたデコボコで足がくにゃりとなってひょろけることがあるが、主人も道の小石を踏んでひょろけ膝を痛めたり私が引っ張りすぎて腰を痛めたりと、年を感じさせる頃合いが同期している感がある。
私の誕生日のころ主人と奥方が還暦を過ぎたのに気がついて、ある雨の日に赤い雨衣を赤いちゃんちゃんこに見立てて面白がって写真を撮ってくれた。まだ若い時分に購入した雨衣でちょっと小さくなってしまった感があるが、二人で私を話題にして面白がっているところを見れば、ほとんど寝てばかりいる私の存在がそれなりに二人の生活に馴染んでいるのだと思える。散歩や食事など必要なとき以外互いにながめ合うだけで何をするでもないのだがそれで主人と奥方は満足なようである。私もそういう日常の中にいることを喜びとしている。
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屋久島方丈記・日誌編:
No.111 レオという犬と暮らした日々 (2012.07.02)
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