My logbook : 屋久島方丈記 
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  日誌編 (with photo) ・ 偏見ご免のたわごと編  
  日誌編: No.12  
  2010.08.30  ナラ枯れ  
 
  この春から夏にかけての頃、県道を尾之間から小島の方へ車で走ってくると前方の視界に入る林の中に茶色くなった木が目につくようになった。そのうち犬の散歩で通る道の側の林や遠くに見える山裾の林の中に茶色くなった木が目立つようになった。それらの木は葉が枯れているが落ちてはいない状態のようである。茶色いのは枯れた葉の色のようである。
 

(写真・上: 画面右の山裾の暗い部分、画面上下中央の明るい部分の茶色がかっているところが枯れ木)
(写真・下: 散歩道横の林、茶色が枯れ木)


見たところ枯れている木は似たような種類の木に見える。15年くらい前に引っ越してきたとき家の近くの松の木が何本も切られていたから、マツクイムシが異常発生して駆除のために周辺の松の木を一斉に伐採したのだろうと見ていた。今回もそれに似て特定の木を枯らす虫が異常発生したかあるいは伝染病が発生し蔓延しているのかと気になっていた。

8月14日だったか、TVを見ていたらキクイムシの被害が全国的に広がっていて屋久島でも被害が出ているという報道があった。ネットの新聞社ニュースによれば、屋久島では6月末西部林道周辺でマテバシイやスダジイなどブナ科の樹木の葉が枯れているのを森林管理署が確認したようである。国有林については国、それ以外のところは県が調査を開始しているらしい。

この木が枯れる現象はナラ枯れと言われているようである。昆虫が運んだ病原菌によってナラやシイ・カシの樹木(屋久島のナラ類としてはマテバシイ、スジダイ、ウラジロガシ)が集団で枯死する現象である。ナラ枯れは体長約5ミリのカシノナガキクイムシ(カシナガ)が夏に繁殖のため幹に穴を開けて多数侵入し、そのカシナガが持ち込んだカビの一種・糸状菌が木の細胞を殺し樹液の流れを止める、そのため木は1~2週間で枯れてしまうということである。

1930年代に宮崎・鹿児島で被害が報告され、その後新潟や福井・兵庫で確認されたが、1980年代までは計8県と散発的な短期被害で終わっていたらしい。ところがその後拡大に転じ昨年までに秋田・長野・山形・福島・京都等23府県に広がっているということである。原因としてはカシナガが好む木が木材や炭に利用されることが減って伐採されなくなったとか、公園整備が進んだりしてカシナガが好む太い木が多く残ったためとか言われているようだが、地球温暖化の影響でカシナガの活動範囲が広がったためという見方もあるようである。


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