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まずは織り機のことである。経糸(たていと)をはじめに巻いておくのがワープビーム(男巻き)で織りあがった布部分を巻き取るのがクロスビーム(女巻き)である。そしてワープビーム側のバックビーム(間丁・けんちょう)と織り手がいるクロスビーム側のフロントビーム(胸木)の間に経糸(たていと)がほぼ水平に張られる(説明図参照)。
その水平に張られた経糸(たていと)の中間に糸を交互に上と下にずらすヘルド(綜絖・そうこう)があって、そのヘルドより織り手側にリード(筬・おさ)がある。織り手はリードとフロントビームの間のヘルドで上になった糸と下になった糸の間にシャトル(杼)で緯糸(よこいと)を通しリードをフロントビーム側に引くと上下交互の経糸(たていと)の間に布になるように緯糸(よこいと)が固定される(打ち込まれる)。それで出来てきた布部分は順次ワープビームの経糸(たていと)を送り出しクロスビームに巻き取られる。
さて粗筬(あらおさ・ラドル)だが、バックビーム部分に取り付けられ間隔の広い筬目でワープビームに巻き取る経糸(たていと)の織り幅をきめる部材である。この部材を取り付けるとバックビーム側とフロントビーム側のリード間で経糸(たていと)の平行度がほぼ保持されるので経糸(たていと)のテンションが安定する。経糸(たていと)を張るときの中心も定まるということらしい。
(写真・左: 変更前の粗筬とバックビームの位置関係)
(写真・右: 変更前の粗筬のクランプによる取り付け)
妻は十数年使用してきたシャクト社の織り機に昨年粗筬を購入して取り付けた。その粗筬はバックビームの上にクランプで固定するタイプのものである。バックビームとフロントビームの間の経糸(たていと)がバックビーム側で上にずれてしまい、ほぼ水平に張られることを想定して設計されている織り機が操作しづらい。そこで私に経糸(たていと)が従来どおり張れるように粗筬の取り付けを変更して欲しいということになった。
(写真・左: 変更後の粗筬とバックビームの位置関係)
(写真・右: 変更後の粗筬のネジによる取り付け)
粗筬をバックビームの経糸(たていと)ガイド用Rが付いていない内側にステンレスの木ネジで固定することにし、バックビームに谷径の下穴を開けた。木ネジをねじ込んで見るとむくのメイプル材らしいのだが堅くてなかなか入らない。木ネジのようにピッチの粗いタップもないので頭がつぶれ使えなくなる寸前まで4本の木ネジをタップ代わりにしてやっとねじ切り出来た。手に豆ができてしまった。
(用語説明)
* ワープビーム(Warp Beam)・男巻き
(経糸(たていと)をはじめに巻いておく。織り手と反対側。)
* バックビーム(Back Beam)・間丁(けんちょう)
(経糸(たていと)の水平ガイド。織り手と反対側)
* ラドル(Raddle)・粗筬(あらおさ)
(間隔の広い筬目でワープビームに巻き取る経糸(たていと)の織り幅をきめる。バックビームに配置)
* ヘルド(Heald)・綜絖(そうこう)
(経糸(たていと)を交互に上と下にずらし緯糸(よこいと)を通す隙間を作る)
* リード(Reed)・筬(おさ)
(経糸(たていと)の織り幅と密度を決めるとともに緯糸(よこいと)を通す杼(Shuttle)のガイドになる。緯糸(よこいと)を通したらこれを手前に引くと緯糸(よこいと)が打ち込まれ布になる)
* フロントビーム(Front Beam)・胸木
( 経糸(たていと)の水平ガイド。織り手側。織られた布のガイドともなる)
* クロスビーム(Cloth Beam)・女巻き
(織られた布を巻き取る。織り手側)
(関連記事)
屋久島方丈記・日誌編:
No.76 楽譜方式の織り譜 (2011.11.07)
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