屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.240 屋久島(132):EBOもどきかものこと  H19.03.26)

海中温泉の清掃などを常連が集まってやっているとH17年の夏ころ、NHKでの「俺たちのユートピア」とかいう移住賛歌番組で紹介されていたのを見て、集落で委託した管理人もいることだし、移住者の地元交流を強調するためヤラセ的に常連を集めてそういう雰囲気の場面をつくったのではないかという印象を私は持ったものである。

ところが昨年・H18年12月平内区のホームページの記事に、海中温泉の維持管理に温泉管理人のほかにも常連が色んな事で協力しているという紹介記事があった。実際に常連が連絡を取り合って集まり活動しているようである。ホームページで紹介されるようになったということは番組放送を機に活動の輪が広がって周囲の注目を集めるまでになってきたのかもしれない。

協力してくれる人たちをホームページではサポーターと呼んでいて、具体的には清掃用のポンプを寄贈してくれた人、器具を貸してくれた人、案内看板を新しく立ててくれた人、看板をいつも綺麗に書いてくれる人、大雨の日は必ず湯船に木の葉がたくさん貯まるがすぐに駆けつけて除去してくれる人々、定期的に大清掃をしてくれる人々、台風後の修繕をしてくれる人々、温泉の入り方を教えてくれる人々、注意をしてくれる人々だそうである。ホームページにはこの1月にはそのうち12名(ここではボランティアと呼んでいる)が大掃除をしてくれたという記事もある。

そして最近の3月中ころホームページを見ていたら、常連と平内区関係者の約30人が集まり、同好会を結成するか否か、その会の名称は、日頃の温泉の清掃や整備問題、平内区との関係などについて活発な意見の交換が行われたという記事がでているのを見つけた。そのとき私が思ったことは、以下のようなことである。

私の印象では、常連が単に集まって同好会を結成するということではなさそうで、区関係者も入っての意見交換ということは区から温泉管理の委託をうける組織を結成しようということのような感じがした。海中温泉も区の運営管理が多分あまりうまくいっていないのかもしれない。それで初めはサポーターあるいはボランティアと称して維持管理の作業を担おうとしていた人たちが、もっと運営管理に参画していこうと組織化して区に迫る動きの一端かと思ったのである。

アメリカである航空会社が経営不振になったとき、従業員の組合が株を買い取って経営権を握ったというようなニュースを見聞きしたことがある。EBO(employee buy-out)として話題になった記憶がある。それに似てサポーターあるいはボランティアが乗り出してきたのではないかという気がしたのである。TV番組の流れから見れば自主的な協力は移住者が発端のようだから、移住者が集落の運営に参画する突破口にもなると仕掛けたかもしれないと見たのである。

あるいはそう思ったのは思い過ごしで、常連と平内区関係者の会合は、単なる同好の士による同好会として仲間内での仕切りを決めるために、区の仕切りを侵さないようそれを確認するための意見交換だったのかもしれない。
 

補足1: 同好会が発足したらしいこと  (H19.06.15)

私が同好会というはなしを耳にしてから懸念していたことは、緩やかな田舎の組織に外部から入って来て新しい固い組織をつくりその組織が全体を仕切っていく癌みたいなことになりはしないかということである。集落の温泉が同好会の温泉にならなければよいがと気になっていたのである。

補足2: 「補足1」の懸念、当たりかものこと  (H20.06.29)

平内区のホームページ掲示板を見ていたら6月16日に「元平内在住人」という人の投稿があって、久しぶりに海中温泉に行ったら頑丈な日よけや時計に潮見表そして救急箱まで用意してあって、すっかり観光地化されなんかもう地元人の温泉ではなくなったようとなげいていた。

 No.315 屋久島(162): あるクレームのこと  (H21.08.15)

 

付録: 海中温泉に関する契約のこと  (H19.05.04)

最近昭和41年に区がある企業に海中温泉周辺の区所有地を観光開発推進のために無償譲渡するという契約をしていることを知った。契約には周辺の個人所有地の買収にも協力する。現在の温泉は譲渡契約外だが、入浴については企業に自由に解放する。またその浴場等の改善については両者協議のうえ決める。企業が温泉ボーリングをする必要が出てきたときも両者で協議のうえ決める、というようになっているようである。(それで企業から区へ当時150万円寄付があったようである。)

現在の温泉の浴場等(運営管理についても含まれそう)の改善について、あるいは今後あればのはなしだが周辺温泉施設の開発については、企業と区の協議事項になっているように見える。だからもし両者以外の組織が現温泉のハード・ソフトの改善を目指そうとすれば、企業に権限を委任されて区と協議するか、区に権限を委任され企業と協議するかしかなさそうである。


 
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