屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.190 屋久島(107):なさけないこと(2)  H17.10.10)

むかしのことである。路線が迂回している電車で2回も乗り換えがあり駅に降りてからも15分歩くと2時間弱かかる。冬は帰りが遅くなるとホームで電車を待つときは寒い。そんなわけで車通勤していた。時間も30分くらい短くなる。それでも朝はぎりぎり間に合うように家を出る。長く通う間に渋滞などで遅れることがあるから、抜け道を探す。そして見つけた抜け道でのはなしである。

その会社近くの道は、よく覚えていないが朝6時から9時だったか、私が通る8時前には会社方向への一方通行である。そこを通るとすんなりと会社の駐車場に着く。何回か通っているうちのある日対向車が進入してきた。女性が運転している。一方通行の標識を指差して教えるのだが、かまわず突っ込んでくる。しようがないから私がすれ違えるところまで後退して通してやると「すみませーん」と笑いながら通り過ぎる。

そういうことが何回かあって、こいつは一方通行ということは分かっているのに、いつも知らん振りして突っ込んできて「すみませーん」と甘ったるい声で愛嬌を振り向けば、通してもらえると思っている常習犯である、ということが分かってきた。

そこである日、いつものように進入してきたとき、私は後退して道を空けてやることをせず、標識を示して「一方通行だから下がれ」と言ってやった。「一方通行だと分からなかった」と言ったりするから、「しょっちゅうやっているじゃないか。何回も注意している。」と言ったら、しぶしぶ後退して道を空けた。

すれ違うときぶすっという顔をしてにらみつけていたが、少しは見られる顔だったから、それで甘やかされると踏んでやっていたらしい。そのことがあってからは私が通るときその車に遭遇することはなくなった。

そういう経験があるから、私は強引に突っ込んで来る車あるいは運転者には警戒すべしという予断を持っている。さてそういう私が強引に突っ込んでくる女性の運転する車に後退して道を譲って「すみませーん」と言われたから、一挙にむかしのことがよみがえってきてしまった。最近の話である。

道は県道から農道への進入接続路末端の農道とのT字路である。私は県道から進入しカーブしている部分を通過した時点でT字路の農道右側から車が曲がってきた。鼻を突っ込んだあたりで、両方とも互いに見つけ一旦その場で停止した。その状況では私がカーブを後退して他家の取り付け道まで退避するよりは、曲がりかけた車がバックしてくれたほうが早い。私は止まったままで、バックしてくれと合図をした。しかし、相手の車は、動き始め突っ込んでくる。

なぜ、私がもっと幅寄せをしないのかと言えば、左は縁石ふうにアスファルトが盛り上げてあり、その縁石を越えれば地面の高さは道と変わりがない、そしてそこは湿地である。タイヤが越えればドライブシャフトあるいはサスペンションが縁石にかじってしまう恐れがあるからである。

私は、状況を見誤ることなしとは言えないが、常々狭い場所でのこういう場面では、率先して後退したり幅寄せをすることにしている。また合図を受けた場合はその場所なりに精通した人が教えてくれているのだとそれを尊重した態度をとる。そうあるべきだと思っているのに、相手の車は強引に突っ込んでくる。

近づいてくる車のタイヤを見ていると、反対側の側溝にはみ出している。このまま強引にすれ違おうとすると、相手の車は脱輪する。そう思ったから私はカーブを後退して数十メートル、他家の取り付け道まで退避した。そうしたら相手の車を運転する女性が「すみませーん」と言って笑いながら通り過ぎようとする。私はむかしのことを思い出してしまったから「曲がりかけてこちらの車が見えて、合図をしているのになぜバックしない。負担の少ない方が譲るのがマナーだろう。」とつい怒鳴ってしまった。 

そのあとの気分の悪いこと。この場所で同じ人物に何回もそういう目にあっているわけではない。はじめての人である。特に相手が男だったら多分文句を言うのを控えてしまったのではないかという気分もある。むかしのことを思い出して咄嗟に怒鳴ってしまったのだが、なにか弱さに付け込んだようでなさけない気分がして、それがしばらく抜けなかったのである。

補足: まいったのこと  (H18.03.06)

今日散歩に出たとき出くわした人が顔を背けて通り過ぎる。なんか不自然だなと思っていたら近所の曲がり角を曲がった。どうも昨年引っ越してきた人らしい。あいさつに回ってきたことは記憶にあるが、その後会う機会もないせいもあり顔は記憶に残っていない。その人が、私が怒鳴りつけた本人のようである。

No.110 屋久島(62):なさけないこと(1) (H15.01.13)


 
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